検査項目解説
検査名 | アセトン |
英検査名 | Acetone |
検体基準範囲 |
検体採取後速やかに測定するか、凍結保存する。アセトンは揮発性のため新鮮な検体を用いる。凍結検体は15日以内に測定する。 血清:5μg/mL以下 |
測定法 | ガスクロマトグラフィー |
基準範囲出典 |
1.深尾敏幸:ケトン体代謝異常症─特にアセトン血性嘔吐症と鑑別すべきサクシニルーCoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症を中心に.日小児会誌 111:727-739,2007 2.Caplan YH: Forensic Science Handbook. Vol 1. Edited by R Saferstein. Englewood Cliffs, Prentice Hall, 1982 3.Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics. Seventh edition. Edited by TW Rall, F Murad. New York, McMillan Publishing, 1985 4.Porter WF, Moyer TP: Clinical toxicology. In Tietz Textbook of Clinical Chemistry. Fourth edition. Edited by CA Burtis, ER Ashwood. Philadelphia, WB Saunders Company, 1993, pp 1155-1235 5.Principles of Forensic Toxicology. Edited by B Levine. Washington DC, AACC Press, 1999 6.深掘 すみ江 他:労働科学 59-12-555~562 1983 |
解説 |
アセトンはアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸とともにケトン体の一種で、生体内では糖の利用障害、絶食、飢餓、代謝亢進などにより、エネルギー依存度が糖質から脂肪酸へと傾くと、脂肪の分解亢進によって増加した遊離脂肪酸が肝細胞内に取り込まれアセトンが産生される。肝で生成されたケトン体は、肝細胞では代謝できないため、骨格筋、心筋、腎などで再利用されるが、組織の処理能力を超えると血中に増加し尿中に排泄される。糖尿病ではインスリンの作用不足で脂肪の分解が亢進し、遊離脂肪酸が上昇する。また、肝ではカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)の活性化などでケトン体が上昇する。ケトン体が著増(3~5mmol/L以上)すると、pHが7.3以下の糖尿病性ケトアシドーシスとなり、アセトンも著明に増加する 高値(血清):糖尿病、糖尿病性アシドーシス、糖原病、グリコーゲン病、アセトン血性嘔吐症、絶食、飢餓、嘔吐、脱水、高脂肪低炭水化物食、アセトン作業者、イソプロピルアルコール作業者 |