検査項目解説
検査名 | アデノシンデアミナーゼ |
英検査名 | Adenosine Deaminase/Adenosine Deaminase 1/Adenosine Deaminase 2 |
検体基準範囲 |
抗凝固剤による影響はないが、溶血があると高値になる。検体は速やかに測定するか、冷蔵保存する。 血清:5.0~20.0U/L 胸水:6.24~34.16IU/L 腹水:0.0~7.3U/L 血液:0.3~1.4IU/gHb |
測定法 | 酵素法 |
基準範囲出典 | 1.佐野 史良、他:臨床検査機器・試薬 9(4):715-720,1986 |
解説 |
この検査の目的は肝疾患および結核の補助診断である。ADAはリンパ節、脾、肝、腎、肺などに広く分布するプリン代謝系の酵素で、特にリンパ組織の分化、成熟に関与している。この酵素は2種のアイソザイムがあり血中のADAの80%はADA2でリンパ球と単球由来である。ADA活性の上昇はプリン体代謝経路の亢進、腫瘍性増殖による代謝亢進、代謝亢進の結果としての細胞外へのADAの流出による。臨床的には組織壊死、炎症とリンパ球の活性を反映し、肝疾患、悪性腫瘍、感染症などで活性が増加する。肝疾患では急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、原発性肝癌で増加するが、転移性肝癌では増加は軽度である。白血病ではリンパ性、特にT細胞性白血病で高値(ADA2)となる。また、結核性胸膜炎では胸水中に著しく増加するので、癌性胸膜炎(低値)との鑑別に使われる。 高値(血清):肝炎、急性B型肝炎、ウイルス性肝炎、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、多発性硬化症、結核、結核性腹膜炎、粟粒結核、骨髄異形成症候群、伝染性単核球症、肺炎、チフス、敗血症、後天性免疫不全症候群、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、インスリン非依存性糖尿病、インスリン依存性糖尿病、痛風、ヘモクロマトーシス、サラセミア、自己免疫性溶血性貧血、リウマチ熱、大腸癌、肝癌、胆嚢癌、膵癌、前立腺癌、膀胱癌 高値(腹水):結核性腹膜 高値(髄液):結核性髄膜炎、無菌性髄膜炎、悪性腫瘍に伴う髄膜炎、化膿性髄膜炎 高値(リンパ球):膀胱癌、急性リンパ性白血病 高値(赤血球):膀胱癌 高値(胸水):癌性胸膜炎、結核性胸膜炎 低値(リンパ球):腎癌、ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、アデノシンデアミナーゼ欠損症 低値(血清):アデノシンデアミナーゼ欠損症 低値:(胸水):漏水性胸水症 |