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検査項目解説

検査名 アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
英検査名 Alanine Aminotransferase/ALT/GPT
検体基準範囲 検体は採取後直ちに測定するか、4℃保存で一週間以内に測定する。また-80℃では1ヶ月保存可能である。立位では安静臥位に比べ10%程度高値になる。
血清:5~40U/L
測定法 JSCC標準化対応法
基準範囲出典 1.日本臨床化学会:臨床化学 18(4):250-254,1989
2.三浦 裕:日本臨床 53(増):266-271,1995
3.Tietz Textbook of Clinical Chemistry. Edited by CA Burtis, ER Ashwood. Philadelphia, WB Saunders Company,1994
4.Pincus MR, Tierno PM, Fenelus M, Bowne WB, Bluth MH. Evaluation of liver function. In: McPherson RA, Pincus MR, eds. Henry's Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier Saunders; 2011:chap 21.
5.Pratt DS. Liver chemistry and function tests. In: Feldman M, Friedman LS, Brandt LJ, eds. Sleisenger and Fordtran's Gastrointestinal and Liver Disease: Pathophysiology/Diagnosis/Management. 10th ed. Philadelphia, PA: Elsevier Saunders; 2016:chap 73.
6.安部井誠人:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT).日本臨牀 62(増刊11 広範囲血液・尿化学検査,免疫学的検査 1.第6版):348-351,2004
解説 この検査の目的は肝胆道系疾患、特に肝疾患の検出、重症度、経過の把握である。ALTは細胞質の可溶性分画に存在するが、肝に比較的特異的に存在するため、血中での増加は肝細胞の傷害による逸脱を強く示唆する。このような逸脱酵素値の解釈に際しては1.逸脱した組織・細胞 2.逸脱量による傷害度 3.血中の消失速度を考慮する。肝障害をアミノトランスフェラーゼで評価する場合は同じトランスアミナーゼのASTと同時に測定しAST/ALT比が有用である。急性肝炎では多量の肝細胞が破壊され、AST、ALTは500U/L以上の高値となり、
肝含有量を反映して初期にはAST>ALTであるが、極期を過ぎると半減期の長いALTが血中に残るためAST<ALTとなる。高度な肝細胞壊死を示す劇症肝炎では、AST、ALTは2,000U/L以上になり、肝含有量の差とAST-mの逸脱によりAST>ALTとなる。慢性肝炎や過栄養性脂肪肝では、AST、ALTは中等度上昇するが、半減期の差によりAST<ALTとなる。肝硬変では、正常肝細胞が減少しAST、ALTの上昇は軽度で、細胞内のALT活性は正常に比べ著しく低下するので、血中の比もAST>ALTとなる。アルコール性肝傷害は障害がミトコンドリアに及ぶためAST-mが逸脱し、AST>ALTとなる。急性心筋梗塞、骨格筋傷害や溶血性貧血はASTの上昇が主でALTの上昇は軽度であるが、急性心筋梗塞でALTの上昇を伴う場合は,ショックによる肝細胞壊死を考える。
パニック値:1000U/L以上:急性肝炎、劇症肝炎、ショック肝、薬剤性肝障害
高値(血清):500U/L以上:劇症肝炎、急性肝炎、ショック肝
高値(血清):150~500U/L:慢性活動性肝炎、自己免疫性肝炎、アルコール性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害、急性心筋梗塞、筋疾患
高値(血清):150U/L以下:慢性非活動性肝炎、アルコール性肝障害、脂肪肝、肝硬変、肝癌、溶血性貧血、悪性腫瘍

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