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検査項目解説

検査名 L型脂肪酸結合蛋白
英検査名 Liver Type Fatty Acid Binding Protein/L-FABP
検体基準範囲 採尿後速やかに測定するか、室温保存で12時間以内に測定する。冷蔵保存で1週間安定。
尿:クレアチニン換算値(8.4μg/g・Cr以下)
測定法 CLISA
基準範囲出典 1.富田 健一郎 他:医学と薬学 72(8):1389-1395,2015
2.上條-池森 敦子 他:MEBIO 27(1):58-63,2010
3.森 さゆり,他:医療と検査機器・試薬 41(6):615~620,2018.
4.上條-池森 敦子,他:MEBIO 27(1):58~63,2010.
5.池森(上條)敦子,木村健二郎:尿中L-FABP:最新の知見.御手洗哲也ほか(編);Annual Review 腎臓 2009.中外医学社,2009,pp55-60
解説 この検査は尿細管機能障害を伴う腎疾患の診断に用いられる。脂肪酸結合蛋白は細胞内のエネルギー代謝、脂質代謝、疎水性リガンドの輸送を担当している蛋白で、複数のサブタイプがある。このうち、L-FABPは腎の近位尿細管に特異的に発現している。近位尿細管で再吸収された遊離脂肪酸は、L-FABPにより細胞内のミトコンドリアに運ばれエネルギー産生に用いられる。しかし、腎尿細管周囲の血流が低下すると遊離脂肪酸は細胞毒性を持つ過酸化脂質に変換され、この過酸化脂質を尿中に排泄するためL-FABPが結合する。すなわち、L-FABPが尿中に増加したことは、尿細管に酸化ストレスが存在することになり、腎組織障害の危険があることになる。臨床的には腎疾患早期の予測マーカーや腎機能のモニタリングとして用いる。
高度増加:50μg/g・Cr以上:急性腎障害、進行した慢性腎臓病、造影剤腎症、敗血症、薬剤性腎障害
増加(10μg/g・Cr以上):間質性腎炎、糖尿病性腎症、慢性腎臓病の増悪、慢性糸球体腎炎

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