検査項目解説
検査名 | トリプシン |
英検査名 | Trypsin/IRT |
検体基準範囲 |
検体は速やかに測定するか、冷蔵保存する。 血清:100~550ng/mL |
測定法 | ELISA |
基準範囲出典 |
1.河野 幹彦 他:医学と薬学 53(5):635-641,2005 2.宮谷 博幸 他:医学と薬学 56(5):771-775,2006 3.早川哲夫ほか:トリプシン.日本臨牀 57(増刊 広範囲血液・尿化学検査,免疫学的検査 1):365-367,1999 |
解説 |
トリプシンは最も重要な消化酵素の一つで、膵酵素前駆体を活性化させる唯一の酵素である。膵腺房細胞で合成され十二指腸に入りエンテロキナーゼで活性化され蛋白分解酵素として働く。血中にも逸脱酵素として存在するがα1-アンチトリプシンあるいはα2-マクログロブリンと結合しトリプシン単独では存在しない。トリプシノゲンが十二指腸以外で活性化されると組織を自己消化し急性膵炎を引き起こす。臨床的には膵の炎症、膵管閉塞、膵外分泌機能、膵腫瘍などの病態判定の指標となる。ただし測定系はRIA法であるため、結果が出るまでに時間を要することと血中のトリプシン阻害物質の存在で酵素活性でなく免疫活性を測定していることが測定上の難点になっている。 高値(血清):肝硬変、肝炎、急性膵炎、腎不全、膵癌、胆石症、胆道・乳頭部癌、慢性膵炎増悪期 低値(血清):膵癌(膵実質破壊)、膵嚢胞線維症、1型糖尿病、慢性膵炎非代償期 |