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微生物検査

[材料別]尿

Staphylococcus aureus(MSSA)が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:尿
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Staphylococcus aureus(MSSA)
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説
 グラム染色ではブドウの房状を呈したグラム陽性球菌が多数観察された。本症例はStaphylococcus spp.を推定できる基本的な染色像である。なお、グラム染色でStaphylococcus spp. は推定できるが、Staphylococcus aureusか否かの鑑別やMRSAの判断はできない。
 培養検査の結果、Staphylococcus aureus(MSSA)と同定された。

【CLSIにおけるMRSA判定基準】

  • 遺伝子学的検出法:PBP2'を産生するmecA遺伝子を持つStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)を検出する。
  • 薬剤感受性試験法:MPIPC≧4µg/mLまたはCFX≧8µg/mLを示す黄色ブドウ球菌を検出する。

※黄色ブドウ球菌を対象にオキサシリン(MPIPC)とセフォキシチン(CFX)の両方を薬剤感受性試験した場合、どちらかの薬剤に耐性の時はMRSAと報告する。

Staphylococcus epidermidis が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:尿
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Staphylococcus epidermidis
■培地名:-
■年 齢:75
■性 別:男性
■解 説
 僅かな好中球の周りに多数のグラム染色球菌が観察された。グラム陽性球菌の形態からStaphylococcus spp.が最も疑われたが、連鎖状を呈した菌体も一部認められたためEnterococcus spp.の可能性も示唆された。
 培養検査の結果、StaphylococcuS. epidermidis(表皮ブドウ球菌)と同定された。

【CLSIにおけるMRCNS判定基準】

  • 遺伝子学的検出法:PBP2'を産生するmecA遺伝子を持つStaphylococcus aureus 以外のStaphylococcus spp.を検出する。
  • 薬剤感受性試験法:オキサシリン(MPIPC)≧0.5µg/mLを示すcoagulase negative Staphylococcus を検出する。

Staphylococcus lugdunensis ではMPIPC≧4µg/mL の時にMRCNSと報告する。

カルバペネム系抗菌薬の影響が疑われた症例
■分 類:一般細菌
■材 料:尿
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Escherichia coli
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説
 Escherichia coli はグラム陰性桿菌の腸内細菌科細菌に含まれ、ラクビーボール様の形態を呈する。カルバペネム系抗菌薬の投与を受けたグラム陰性桿菌の場合にはバルジ状の形態が時に観察されることがある。バルジ状を示すにはPBP2およびPBP3の細胞壁に阻害があると認められる。

PBP2:細胞形態の維持に必要な蛋白
PBP3:隔壁形成に関する蛋白

 培養検査の結果、Escherichia coli(大腸菌)と同定された。
Salmonella enteritidis が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:尿
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:Salmonella enteritidis
■培地名:BTB乳糖加寒天培地
     ヒツジ血液寒天培地
     SS寒天培地
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側スライド
 BTB乳糖加寒天培地/ヒツジ血液寒天培地に発育したSalmonella enteritidis は乳糖非分解のため、当初はSerratia spp.などの腸内細菌科細菌を疑った。

②右側スライド
 同定検査の結果、 Salmonella spp.が疑われたので、SS寒天培地にて確認検査を追加した。集落の中央は硫化水素により黒色、周囲は透明の色調を呈した。O抗原とH抗原を調べた結果、 O抗原:9群、 H抗原:g,mに凝集し、 Salmonella enteritidis と最終判断した。

・ 本症例での注意点
 尿は初期から後期を通じて検出されるため Salmonella spp.も念頭において検査を進めることが重要である。

Proteus mirabilis が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:尿
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:Proteus mirabilis
■培地名:ヒツジ血液寒天培地
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説
 Proteus vulgarisP. mirabilis では寒天培地上を遊走するスウォーミング現象がみられる。このスウォーミングは菌株の相同性の確認にも利用され、同一菌株の場合にはスウォーミングの融合が起こり、菌株間の境界領域が不明瞭となる。

Proteus spp.の特徴

  1. P. vulgaris, P. mirabilis, P. penneri, P. myxofaciens の4菌種が存在する。
  2. グラム陰性桿菌(0.4~0.8×1.0~1.3µm )で運動性がある。
  3. 遊走する菌株でインドール反応陽性はP. vulgaris, 陰性はP. mirabilis を疑う。
  4. インドール陰性株は薬剤に感性、インドール陽性株は薬剤に耐性を示す傾向にある。
  5. 日和見感染や院内感染として尿路・呼吸器・創感染などを起こす。
  6. 院内感染ではP. mirabilis のESBL ( Extended-spectrum β-lactamase )が問題となる。

尿から検出された主要なCandida spp.の症例
■分 類:真菌
■材 料:尿
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Candida albicans
     Candida glabrata
     Candida parapsilosis
     Candida tropicalis
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側上スライド
 Candida albicans はヒトの口腔、消化管、膣、皮膚などに常在する真菌であるが、ストレスあるいは免疫抑制、化学療法などにより宿主の抵抗力が低下した場合に日和見感染を起こす。C. albicans は酵母形の形態と仮性菌糸が観察される。なお、仮性菌糸は一端からの出芽により長い娘細胞が連なった酵母形と菌糸形の中間的形成様式を示すものである。

②右側上スライド
 Candida glabrata は酵母形の形態のみを形成し、仮性菌糸は認められない。なお、酵母形の形態はC. albicans に比べて小さいのが特徴である。

③左右側下スライド
 Candida parapsilosis Candida tropicalis C. albicans と同様に酵母形の形態と仮性菌糸が観察される。ただし、酵母形は長い楕円形のような形態を示す特徴がある。

抗真菌薬投与中の臨床検体からCandida albicans が検出された症例
■分 類:真菌
■材 料:[複数材料]
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Candida albicans
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左右側上スライド
 血液培養から検出されたCandida albicans のグラム染色像を示した。抗真菌薬無使用のC. albicansの酵母様形態に比べ、抗真菌薬のファンガード使用においては酵母が膨化した球状の形態が観察された。

②左右側下スライド
 同一患者の喀痰のグラム染色では紫色が脱色し、かつ膨化した球状の酵母様形態と仮性菌糸の一部が観察された。

・真菌のグラム染色
 真菌のグラム染色では紫色のグラム陽性を呈するような記載が多く認められるが、臨床材料を対象にグラム染色を実施すると、スライド下段のように紫色が脱色されたような形態を示すためグラム染色では真菌の存在を見逃してしまう恐れがある。そのため、真菌の蛍光染色を実施することを推奨する。

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