疾患解説
フリガナ | アエンケツボウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 代謝性疾患 |
英疾患名 | Zinc Deficiency |
ICD10 | E60 |
疾患の概念 | 亜鉛(Zn)は主に骨、歯、毛髪、皮膚、肝臓、筋肉、白血球および精巣に含まれる必須微量金属で、200種以上の金属酵素の活性化に関与している。亜鉛の欠乏で引き起こされる病態は、先進国では亜鉛の保持能力が失われる肝不全患者の一部、利尿薬投与、糖尿病、慢性腎不全、Crohn病、吸収不良の患者に見られる。また、高齢の施設入所者、在宅治療者、高カロリー輸液患者にも多く見られる。先天性亜鉛欠乏は、乾癬様皮膚炎が眼、鼻、口の周囲、殿部および末端に生じる常染色体劣性遺伝疾患である腸性肢端皮膚炎を発症する。 |
診断の手掛 | 成人の体内の総亜鉛量は、1.4~2.3g、一日必要量は10.0~15.0mgで、排泄量は糞便中に10.0mg/日、尿中に0.3~0.5mg/日であり、血清亜鉛濃度が12μmol/L(70μg/dL)未満、または血清亜鉛:銅の比が0.7以下を示したら亜鉛欠乏症とする。特異的な症状が無いため、本症を疑ったら血清亜鉛低値と尿中排泄量増加を診断の手がかりにする。常染色体劣性疾患である腸性肢端皮膚炎は、亜鉛の吸収不良を引き起こす。この疾患は眼、鼻、口の周囲、臀部の先端部に乾癬性皮膚炎を生じる。症状は乳児が離乳した後で発症するので、この疾患を疑う場合は血漿、毛髪、白血球の亜鉛を測定する。 |
主訴 |
易感染性|Susceptibility to infection 嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 関節痛|Arthralgia 嗅覚障害|Dysosmia/Olfactory disteurbance 下痢|Diarrhea 食欲不振|Anorexia 成長障害|Growth disorder 脱毛|Alopecia 発育障害|Developmental disability/Disorder of growth and development 腹痛|Abdominal pain 発疹|Eruption/Exanthema 味覚障害|Taste disorder |
鑑別疾患 |
皮膚炎 膿痂疹 乾癬|Psoriasis 味覚障害 舌炎 |
スクリーニング検査 | Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] |
異常値を示す検査 | Zinc|亜鉛 [/S,/U] |
関連する検査の読み方 |
【亜鉛】 70μg/dL未満なら欠乏症が強く疑われ、30μg/dL以下なら高度低下で欠乏症が疑われる。確定診断は、血清中の亜鉛低値と亜鉛の尿中排泄量の上昇を確認する。Znは必須微量金属で、あらゆる組織に分布し、血液中では60%がアルブミンと、残りはα1-マイクログロブリンと結合している。また、アルカリホスファターゼ、乳酸脱水素酵素など多くの酵素に含まれ、生理活性に関与している。臨床的には味覚障害、経静脈高カロリー輸液時、腸性肢端皮膚炎などの亜鉛欠乏症の診断、治療効果判定に用いる。 【尿中亜鉛】 高値になるので、診断的な意義がある。 |
検体検査以外の検査計画 | 心理テスト、味覚機能検査 |