疾患解説
フリガナ | ジアルジアショウ |
別名 | |
臓器区分 | 寄生動物疾患 |
英疾患名 | Giardiasis |
ICD10 | A07.1 |
疾患の概念 | 有鞭毛原虫であるランブル鞭毛虫による消化管感染症で、糞便中のシストの経口摂取で感染する。感染者数は、2~3億人ともいわれ、我が国では発展途上国への旅行後の下痢患者に多くみられる。感染しても無症状のこともあれば、間欠性の鼓腸から慢性吸収不良まで様々な症状を引き起こす。ジアルジアの栄養型は、十二指腸と近位空腸の粘膜に付着し増殖する。一部は環境抵抗性のシストに変態し、糞便による経口感染で広がるが、水系感染がジアルジア症の主な感染経路で、新鮮に見える山の渓流や濾過不十分な水道水を介して広まる。また、汚染された食品の摂取やヒトとヒトの直接接触でも伝播する。4類感染症であるので、診断した医師は1週間以内に届け出を行う。 |
診断の手掛 | 流行地である発展途上国の旅行後に下痢(特に悪臭のある水様下痢、脂肪性便、泡沫状便)などの消化器症状を訴える患者を診たら本症を疑う。初期症状は、上腹部不快感、下痢、鼓腸、過剰放屁、悪心、嘔吐が挙げられる。また、1.原因となる細菌やウイルスなどが検出されない下痢症の患者 2.海外旅行者で下痢症の患者 3.集団下痢症患者で、通常の病原体が検出されない場合 4.免疫不全患者で、長期間持続する原因不明の下痢症については常に原虫性下痢症を念頭に置いて検査を進める。急性ジアルジア症の症状は、感染後1~14日(平均7日)で出現する。症状は軽度で、悪臭のある水様性下痢、腹部痙攣、膨隆、鼓腸、おくび、間欠性の悪心、心窩部不快感、ときとして軽度の全身倦怠感および食欲不振などがある。急性ジアルジア症は通常1~3週間持続する。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 下痢|Diarrhea 鼓腸|Meteorism/Tympanism/Bloat 食欲不振|Anorexia 水様下痢|Watery diarrhea 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 腹部痙攣|Convulsion of abdomen 腹部膨隆|Abdominal swelling/Gastromegaly |
鑑別疾患 |
感染性腸炎 下痢症|Diarrhea |
スクリーニング検査 | Potassium|カリウム [/S] |
異常値を示す検査 |
Antibody Titer [/S] Vitamin B12|ビタミンB12/コバラミン/シアノコバラミン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ジアルジア抗原】 ELISAによる糞便中の抗原検出は最も感度が高い。 【特異的DNAプローブ】 特異性に優れた検査である。 【糞便】 寄生虫抗原の検出、シストや栄養型の確認が診断に有用である。慢性感染症では原虫の排泄が少なく間欠的なので、陰性の場合は繰り返し検査を行う。 【シスト】 卵形で8~12μm×7~10μmの大きさがある。 【栄養型】 洋ナシ型で、背面がと凸状、2個の核と4対の鞭毛を持つ平たい寄生虫である。 |
検体検査以外の検査計画 |