疾患解説
フリガナ | トキソカラショウ |
別名 |
イヌ回虫症 内臓幼虫移行症 眼幼虫移行症 |
臓器区分 | 寄生動物疾患 |
英疾患名 | Toxocariasis |
ICD10 | B83.0 |
疾患の概念 | イヌ回虫、ネコ回虫および他の動物由来の回虫の幼虫によるヒトの感染症で、内臓幼虫移行症と眼幼虫移行症を発症する。イヌ回虫、ネコ回虫とその他の動物回虫の虫卵は、土壌中で成熟し、イヌ、ネコ、他の動物に感染する。ヒトが感染動物の便で汚染された土壌中の虫卵を誤って摂取すると虫卵はヒトの腸管内で孵化し、腸壁から体内に侵入し、肝臓、肺、中枢神経系、眼または他の組織内を移行する。通常、幼虫は人体内では成虫にはならないが何ヶ月も生き続ける。 |
診断の手掛 | イヌやネコの飼い主が原因不明の発熱、食欲不振、肝・脾腫、発疹などを訴えたら本症を疑う。内臓幼虫移行症では罹患した臓器により発熱、食欲不振、肝・脾腫、発疹、肺炎、喘息などが起こる。眼幼虫移行症は眼トキソカラ症とも呼ばれ、全身症状は殆どなく視力障害のみを訴える。 |
主訴 |
肝腫大|Hepatomegaly 原因不明熱|Fever of unknown origin/FUO 食欲不振|Anorexia 視力障害|Blurred vision/Visual impairment 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 発疹|Eruption/Exanthema |
鑑別疾患 |
網膜芽細胞腫 ぶどう膜炎 |
スクリーニング検査 |
Eosinophils|好酸球 [/B] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Complement Fixation [/S] Hemagglutination Inhibition [/S] Immunoglobulins|免疫グロブリン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 顕著な好酸球増加と白血球増加が見られる。白血球数は100,000/μLを超えることがあり、30~80%は好酸球である。 【免疫グロブリン】 IgAは減少するが、他のグロブリンは増加する。この所見は診断の手がかりになる。 【EIA】 診断は診断は酵素免疫測定法(EIA)が推奨されているが、眼幼虫移行症患者では血清抗体価が低値または検出限界未満となる場合がある。同種凝集素がしばしば上昇するが、の所見は非特異的である。 【同種血清凝集素】 抗A型抗体及び抗B型抗体は1:1024を上回る。 【糞便虫卵検査】 有用性が無い。 【ELISA】 イヌ回虫に対しては最高の検査法で、特異性92%、感度78%である。 【感染臓器生検】 好酸球性肉芽腫性反応は見られるが、幼虫を見つけることは困難である。 |
検体検査以外の検査計画 | 眼科学的検査、胸部X線検査 |