疾患解説
フリガナ | メープルシロップニョウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 先天性代謝性疾患 |
英疾患名 | Maple Syrup Urine Disease |
ICD10 | E71.0 |
疾患の概念 | 分岐アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの代謝に関与する酵素の欠損により、重度の代謝性アシドーシスを伴う有機酸の蓄積を来す疾患で、常染色体劣性遺伝形式を示す。我が国では、ガスリー法でアミノ酸代謝異常症(メープルシロップ尿症、フェニルケトン尿症、ホモシスチン症)が4~5万人に一人の割合で見つかる。 |
診断の手掛 |
生後1週間以内に嘔吐、筋緊張低下、嗜眠、摂食障害、痙攣発作を来す新生児を診たら本症を疑う。また、メープルシロップに似た強い体液臭が特徴である。 【診断基準:2015年厚労省】 1.診断基準:血中ロイシン値が4mg/dL(300μmol/L)以上であれば本症の診断を進める。診断の根拠となる検査の①かつ②、もしくは①かつ③を認めるものを確定例とする。 2.鑑別診断:ケトーシスやチアミン欠乏で分枝鎖ケト酸の上昇を認める。血糖に伴って分枝鎖アミノ酸の上昇を認める。いずれも、血中、尿中アミノ酸分析と尿中有機酸分析によって鑑別が可能である。 3.診断の根拠となる検査:①血中・尿中アミノ酸分析:診断に必須の検査である。ロイシン、イソロイシン、バリンの増加、アラニンの低下を認める。②有機酸分析:分枝鎖αケト酸、分枝鎖αヒドロキシ酸の増加を認める。③酵素活性:リンパ球、皮膚線維芽細胞、羊水細胞、絨毛細胞などを用いた分枝鎖ケト酸脱水素酵素活性を測定する。患者では正常対照の20%以下である。病型分類においては5%未満の場合は古典型、5~20%の場合は中間型あるいは間欠型である。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 筋緊張低下|Hypotonia 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure 昏睡|Coma 昏迷|Stupor 嗜眠|Lethargy 摂食障害|Eating disorder 尿異常臭|Abnormal odor of urine |
鑑別疾患 |
ケトン尿症 酸性尿症 高アミノ酸血症 フェニルケトン尿症|Phenylketonuria(PKU) |
スクリーニング検査 | Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S] |
異常値を示す検査 |
Alloisoleucine [/S] Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/P, /U] Isoleucine|イソロイシン [/P, /U] Leucine|ロイシン [/P, /U] Valine|バリン [/P, /U] |
関連する検査の読み方 |
【尿一般検査】 強いケトン尿と酸性尿が見られる。 【アミノ酸分析】 確定診断にはロイシンの高値を確認する。 【ガスリー法】 スクリーニング検査として有用である。 |
検体検査以外の検査計画 |