疾患解説
フリガナ | カンキュウチュウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 寄生動物疾患 |
英疾患名 | Cloronorchiasis |
ICD10 | B66.1 |
疾患の概念 | 肝臓に寄生する肝吸虫(Clonorchis sinensis)による感染症で、メタセルカリアを保有した淡水魚の生食により、摂取されたメタセルカリアが成虫になり、胆管に寄生するもので、虫体は20年以上生存する。原因となる吸虫は、この他にタイ肝吸虫とネコ吸虫が知られている。成虫はヒトの胆管内に生息し、虫卵は便中に排出され、巻貝に摂取される。感染した巻貝から放出されたセルカリアが、様々な淡水魚に感染する。ヒトへの感染は、被嚢化したメタセルカリアを持つ魚を食べることで成立する。メタセルカリアは、十二指腸で脱嚢後、ファーター膨大部を通り総胆管に入り、肝内胆管へ移行し、そこで成熟して約1カ月で成虫となる。 |
診断の手掛 | 日本、朝鮮半島、台湾、中国南部などの流行地で、生や加熱不完全な淡水魚を食べた後に発熱、悪寒戦慄、上腹部痛、軽度の黄疸、下痢などを訴えたら本症を疑う。ただし、症状は感染後期に見られ、感染初期の臨牀症状は、あまり明確でない。多数寄生後に時間が経過すると、慢性胆管炎から肝実質の萎縮、門脈線維症、肝硬変に進行することがある。多量の吸虫が胆道系を閉塞すると、黄疸が見られることがある。その他の合併症として、化膿性胆管炎、胆石症、膵炎、胆管癌などがあるので注意する。 |
主訴 |
圧痛|Tenderness 黄疸|Jaundice 悪寒戦慄|Chill with shivening 肝腫大|Hepatomegaly 季肋部痛|Hypochondralgia 下痢|Diarrhea 上腹部痛|Upper abdominal pain 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 腹水|Ascites 腹痛|Abdominal pain 腹部膨隆|Abdominal swelling/Gastromegaly 右季肋部痛|Pain in the right hypochondrium/Right Hypochondralgia |
鑑別疾患 |
胆管炎 慢性膵炎|Chronic Pancreatitis 胆管癌|Cholangiocarcinoma 肝膿瘍|Liver Abscess 肝腫瘤 |
スクリーニング検査 |
Eosinophils|好酸球 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] |
異常値を示す検査 | |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球数は感染の強さで異なる。好酸球は増加する。 【ALP】【ビリルビン】 増加することがある。 【糞便虫卵検査】【十二指腸液一般検査】 虫卵が検出されれば診断は確定する。十二指腸液検査の感度はほぼ100%である。メタゴニムス属、異型吸虫属、オビストルキス属の虫卵との区別は困難である。 【ELISA】 感度77%であるが、特異的モノクロナール抗体を用いないと、他の吸虫症、条虫症、結核、肝癌との交差反応が見られる。 【肝機能検査】 慢性の場合は肝実質障害のパターンを示す。 |
検体検査以外の検査計画 | 腹部単純X線検査、肝超音波検査、径皮肝胆管造影検査、CT検査 |