疾患解説
フリガナ | カンノウヨウ |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Liver Abscess |
ICD10 | K75.0 |
疾患の概念 | 胆管、脈管あるいは隣接臓器から細菌、真菌、寄生虫などが直接肝に感染し、膿瘍を形成した病態で、化膿性肝膿瘍とアメーバ性肝膿瘍に大別される。病原菌の進入経路は門脈、総胆管、肝動脈、感染巣、外傷部などである。 |
診断の手掛 | 原因となる細菌感染症、アメーバ症に罹患した患者は、本症の発症を予測し慎重に臨床所見の観察を続ける。細菌性肝膿瘍の3大主徴は発熱、腹痛、肝腫大で、原因菌はグラム陰性桿菌が多く60%は経胆道性である。 |
主訴 |
意識障害|Memory impaiment 黄疸|Jaundice 嘔吐|Vomiting 悪寒戦慄|Chill with shivening 悪心|Nausea 肩痛|Shoulder pain 肝圧痛|Hepaticpain 間欠熱|Intermittent fever 肝腫大|Hepatomegaly 季肋部痛|Hypochondralgia 刺激性咳|Irritative cough 弛張熱|Remittent fever 食欲不振|Anorexia ショック|Shock 咳|Cough 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 痰|Sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹水|Ascites 腹痛|Abdominal pain 右肩痛|Right shoulder pain 右季肋部痛|Pain in the right hypochondrium/Right Hypochondralgia やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
肝癌 肝エキノコックス症 肝血管腫 肝硬変|Cirrhosis of Liver 肝嚢胞 下痢症|Diarrhea 胆管炎 胆石症|Cholecystolithiasis 敗血症|Sepsis 白血球増多症 貧血 アメーバ症 |
スクリーニング検査 |
ALP|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Entamoeba Histolytica Antibody|赤痢アメーバ抗体/抗赤痢アメーバ抗体 [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] |
異常値を示す検査 | Entamoeba Histolytica Antibody|赤痢アメーバ抗体/抗赤痢アメーバ抗体 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ALP】 細菌性多発性肝膿瘍で増加する。70%の患者で高値になり単独の検査では最も信頼できる。 【ビリルビン】 50%の患者で直接ビリルビンが優位で増加する。 【肝機能検査】 患者の50%でアルブミンが低下、グロブリンが増加する。75%でALPが増加、20~25%でビリルビンが増加するが10mg/dL以上ならアメーバ性より化膿性を考える。48%の患者でAST高値が見られる。 【CBC】 白血球は細菌性では好中球が、アメーバ性では好酸球が増加する。 【赤痢アメーバ】 血清学的検査で確定する。糞便検査では陰性の場合もあるが、膿瘍内容の吸引では50%程度に赤痢アメーバを認める。 【赤痢アメーバ抗体】 アメーバ性肝膿瘍で陽性である。抗赤痢アメーバ抗体はヒトに病原性を有するEntamoeba histolyticaに対する抗体で、陽性を示せば赤痢アメーバが人体組織内、特に肝に進入していることを示している。アメーバが腸内にとどまっている状態では抗体価は低い。 【膿汁細菌培養】 起炎菌は大腸菌、クレブジェラ属、バクテロイデス・フラジリス、黄色ブドウ球菌が多い。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部・腹部X線検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、経皮肝胆道造影検査 |