疾患解説
フリガナ | タンカンガン |
別名 | 悪性腫瘍(肝外胆管) |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Cholangiocarcinoma |
ICD10 |
肝内胆管癌:C22.1 肝外胆管癌:C24 |
疾患の概念 | 肝外胆管原発の癌で肝門部、上部胆管、中部胆管、下部胆管に区分され、60~80%は肝門部周囲領域(Klatskin腫瘍)である。50歳代の男性に多く加齢、原発性硬化性胆管炎、肝吸虫症、総胆管嚢腫は危険因子である。 |
診断の手掛 | 50~70代の患者が、かゆみと無痛性の黄疸を訴えたら本症を疑う。発病初期は腹痛、食欲不振、体重減少など漠然とした症状しか見られない。病状が進めば胆管閉塞、無痛性黄疸、掻痒症、無胆汁便などが見られるようになる。疼痛は胆道仙痛と類似する場合もあれば、持続性かつ進行性の場合もある。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 灰白色便|Whitish stool/Acholic stool 褐色尿|Brown urine かゆみ|Itching 食欲不振|Anorexia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain 腹部腫瘤|Abdominal tumor/Abdominal mass 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness 右季肋部痛|Pain in the right hypochondrium/Right Hypochondralgia やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
原発性硬化性胆管炎|Primary Sclerosing Cholangitis(PSC) 胆管炎 閉塞性黄疸 良性胆道狭窄 胆管ポリープ 膵臓癌|Cancer of Pancreas |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Calcium|カルシウム [/S] CEA|癌胎児性抗原 [/AsF, /Bile, /S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Alkaline Phosphatase Isoenzymes|アルカリホスファターゼアイソザイム/ALPアイソザイム [/S] CA 125|CA125 [/Bile, /S] CA 19-9|CA19-9 [/Bile, /S] CA 195 [/S] CA 242 [/S] CA 50|CA50 [/S] CA-M17.1 [/S] Cytokeratin 19 Fragment|サイトケラチン19フラグメント/シフラ/シフラ21-1/CYFRA [/S] Dupan-2|DU-PAN-2 [/S] Fibrin and Fibrinogen Degradation Products|フィブリン・フィブリノゲン分解産物/線維素分解産物 [/AsF] Fibronectin|フィブロネクチン [/Bile] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] K-ras Oncogene|KRAS遺伝子/K-ras遺伝子関連検査 [/Bile] Lactate|乳酸/ラクテート [/Bile] Occult Blood|潜血反応(便)/グアヤック法/o-トリジン法/ラテックス凝集法 [/F] Pancreatic Polypeptide|膵臓ポリペプチド [/P] Parathyroid Hormone-related Peptide|副甲状腺ホルモン関連蛋白 [/P] Sialyl-Tn Antigen|シアリルTn抗原 [/Bile] Trypsin-2-α1-Antitrypsin [/S] Trypsinogen-2|トリプシノゲン2 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ビリルビン】 5~30mg/dLの範囲で上昇する。 【ALP】 進行癌で高値になる。ALP1(高分子ALP)アイソザイムが優位である。 【CA19-9】 胆管癌と良性胆管狭窄の鑑別に有用である。 【CBC】 貧血を認める 【肝機能検査】 肝内胆管の閉塞、胆嚢炎の合併などが検査所見に反映される。 【膵炎関連蛋白】 軽度に増加する。PAPは正常の膵ではランゲルハンス島のα細胞で発現しているが、外分泌細胞では急性膵炎で膵腺房細胞が障害を受けた場合のみ発現するストレス蛋白である。膵炎発症直後に上昇する膵酵素や炎症マーカーは炎症の消退と共に急速に低下するが、PAPは発症3~7日目にピークとなり、ゆっくりと低下する。臨床的には炎症の程度や治療効果の判定に用いる。また膵癌では異所性にこの蛋白の発現が知られており、膵導管細胞癌の80%で上昇する。 【糞便一般検査】 潜血反応がしばしば陽性になる。 【細胞診】 十二指腸液に悪性細胞を認めることがある。 【尿沈渣】 ビリルビン結晶が認められる。 |
検体検査以外の検査計画 | 腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査、核磁気共鳴膵胆管造影法、内視鏡的逆行性膵胆管造影法、経皮経肝胆道造影法、胆管ドレナージ、血管造影検査 |