疾患解説
フリガナ | IgAケッソンショウ |
別名 | 選択的IgA欠損症 |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | IgA Deficiency |
ICD10 | D80.2 |
疾患の概念 | IgG、IgMは基準範囲内であるが、IgAのみが選択的に低値(7mg/dL未満)になるもので、選択的IgA欠損症と呼ばれ、常染色体異常と散発例がある。欧米では高頻度に見られるが、わが国では1万9千人に一人程度である。IgA欠損症の患者の80%は、診断時から20年以内に感染症(呼吸気感染)、薬物アレルギー(フェニトイン、ペニシラミン)、自己免疫疾患(自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ)、アトピー性疾患を経験する。遺伝パターンは不明で、選択的IgA欠損症の家系がいる場合は、罹患リスクが約50倍まで増加する。 |
診断の手掛 | IgA欠損症は、最もよく見られる原発性免疫不全症であり、多くは無症状か検査で偶然に見つかる。呼吸器疾患、再発性感染、説明のつかない慢性下痢、アレルギー症状、自己免疫疾患様症状(セリアック病、炎症性腸疾患、SLE、慢性活動性肝炎)を訴える患者を診たら本症を疑う。また、本症は、喘息やアトピー性疾患の発症率が高いことや関節炎や全身性エリテマトーデスとの関連も知られている。輸血、静注用免疫グロブリン製剤、血液製剤中に存在するIgAに曝露された後に一部の患者は、IgAに対する抗体(IgE抗-IgA抗体)を産生するので、これら製剤に再曝露された場合には高度のアナフィラキシー反応を起こすことがあるので注意する。 |
主訴 |
アレルギー症状|Allergic symptoms 下痢|Diarrhea 再発性感染|Recurrent infection 自己免疫疾患様症状|Autoimmune disease-like symptoms 咳|Cough 痰|Sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 慢性下痢|Chronic diarrhea |
鑑別疾患 |
X連鎖無γグロブリン血症 免疫不全症 |
スクリーニング検査 | Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] |
異常値を示す検査 |
Anti-IgA Antibody|抗IgA抗体/IgG抗IgA抗体 [/S] Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S] Interleukin-4|インターロイキン-4 [/S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Transforming Growth Factor-β|形質転換成長因子-β/トランスフォーミング増殖因子-β [/S] |
関連する検査の読み方 |
【免疫グロブリン】 IgG,IgMは基準範囲内であるが、IgAは7mg/dL以下に減少する。 【抗体価】 ワクチン抗原に対する抗体価は基準範囲内である。 【抗IgA抗体】 抗IgA抗体はIgAに対するIgG抗体でIgA欠損症患者の40%以上に認められる。産生の機序は明らかでないが、検査は輸血に際してアナフィラキシー反応を起こした患者、非溶血性の輸血副作用を来した患者や選択的IgA欠損症が疑われる患者に行う。 【形質細胞】 消化管粘膜と呼吸器上皮での形質細胞によるIgAの産生は見られない。 【診断】 IgAレベル7mg/dL未満、IgG及びIgMレベル基準範囲内、ワクチン抗原に対する抗体価正常で確定する。 【除外診断】 IgAが欠損している患者で、X連鎖無ガンマグロブリン血症などの抗体産生不全症を除外する。 |
検体検査以外の検査計画 |