疾患解説
フリガナ | グルコース-6-リンサンダッスイソコウソケッソンショウ |
別名 | |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Glucose-6-Phosphate Dehydrogenase Deficiency |
ICD10 | D58.9 |
疾患の概念 | G6PDは赤血球酵素で、その欠損は、先天性溶血性貧血(家族性溶血性貧血)を発症する。発症は急性疾患後、サリチル酸やスルフォンアミド系の酸性化薬物の摂取後に起こる。黒人に多く見られるX連鎖酵素欠損で、米国黒人の約10%に認められる。この疾患は、ヘキソース-リン酸経路酵素の先天性欠損症の中で、最も多く世界中で2億人以上が罹患している。G6PD欠損により、赤血球膜の完全性を維持するためのエネルギーが減少するため、赤血球の寿命が短くなる。 |
診断の手掛 | 急性溶血を伴う全ての疾患、特に黒人の場合には本症を疑う。末梢血液像でハインツ小体、血球の周囲が1μmの大きさで、かみちぎられている様な赤血球(咬傷赤血球、bite細胞)を認めたら特異的で診断の糸口になる。溶血発作は、酸化的ストレスにさらされて数時間後に起こすという特徴がある。溶血は古い赤血球だけが急速に破壊されるので、ストレスが続いても自然にとまる。一部の患者はソラマメに含まれる酸化物質(β-グリコシド)対する感受性が極めて強く、ソラマメを食べると急激な溶血発作を起こす。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 貧血症状|Anemic symptom |
鑑別疾患 |
遺伝性球状赤血球症|Hereditary Spherocytosis 赤血球酵素異常症 異常ヘモグロビン症 サラセミア|Thalassemia 不安定ヘモグロビン症 |
スクリーニング検査 | Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S] |
異常値を示す検査 |
G-6-PDH|グルコース-6-リン酸脱水素酵素/ブドウ糖-6-リン酸脱水素酵素 [/RBC] Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] Reticulocyte|網赤血球/レチクロサイト/網状赤血球数 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【G-6-PDH」 低値をしめすが、溶血が終わってから数週後に測定する。理由はG6PDの欠乏が大きいと老化赤血球が崩壊し、G6PDを多く含む網赤血球の割合が多くなるためである。G-6-PDHは解糖系・ペントースリン酸回路系の酵素で、正常な状態ではグルコース代謝の約10%が本回路で行われている。赤血球内でのエネルギー供給のほか、解糖系によりエネルギーを得ている臓器や組織中に大量に存在する。 【ハプトグロビン】 低値になる。Hpは崩壊した赤血球から遊離したヘモグロビンと結合し網内系に運び処理する働きがある。この働きは遊離ヘモグロビンの細胞毒から組織障害を防ぐためと考えられている。溶血が持続するとHpの産生が追い付かず血中濃度は極端に減少する。 【骨髄像】 赤芽球系細胞の過形成像がみられる。 【血液像】 ハインツ小体はライト染色では見られないので、クリスタルバイオレット染色をする。ハインツ小体は1日程度で消失する。また、少数の”咬傷細胞”(その辺縁を一口かじられたように見える赤血球)が見られることがある。 【ヘマトクリット】 急性溶血の間は値が急速に低下する。 【ビリルビン】 間接ビリルビンが高値になる。 【ヘモグロビン尿症】 高度な溶血が示唆され、急性腎不全の危険性が高い。 |
検体検査以外の検査計画 |