疾患解説
フリガナ | カフンショウ |
別名 |
枯草熱 アレルギー性鼻炎 |
臓器区分 | アレルギー疾患 |
英疾患名 | Hay Fever |
ICD10 | J30.1 |
疾患の概念 | 花粉をアレルゲンとするIgE依存性Ⅰ型アレルギー疾患で、典型的なアトピー性疾患であり、花粉の飛散時期に一致して、鼻粘膜と結膜にアレルギー症状が出現する。花粉はサイズが大きいため、気道へは到達しないので、反応の場は鼻と眼である。わが国ではスギ花粉症が圧倒的に多いが、ヒノキ、イネ、ブタクサの花粉症もしばしばみられる。スギは初春、イネは夏~秋、ブタクサは秋と季節性がある。花粉症は増加傾向にあり、若年成人の抗体保有率は 30~40%とされ、その約半分が発病する。 |
診断の手掛 | 発作性・再発性のくしゃみ、水性鼻汁、鼻閉、眼のかゆみを訴える患者を診たら本症を疑う。臨床症状は1.鼻症状:くしゃみ、鼻漏、鼻閉 2.眼症状:掻痒、流涙、充血、浮腫 3.耳症状:耳閉塞、掻痒 4.咽頭症状:咳 5.全身症状:頭重感、いらいら感、熱感、集中力欠如、不眠である。症状発症の時期により、通年性アレルギー性鼻炎と区別する。詳細な病歴聴取は検査よりも信頼性が高い。特に雑草、草生、樹木の開花・受粉時期と発症の関係が最も重要である。 |
主訴 |
いらいら|Irritability かゆみ|Itching くしゃみ|Sneezing/Stemutation/Ptarmus 結膜充血|Conjunctival injection 集中力低下|Loss of concentration 耳閉塞感|Fullness in the ear 水性鼻漏|Aquagenic rhinorrhea 頭痛|Headache/Cephalalgia 咳|Cough 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 痰|Sputum 熱感|Heat sensation/Warm sensation 鼻汁|Rinorrhea 鼻閉|Rhinostenosis/Rhinodeisis 鼻漏|Rhinorrea/Nasal flow/Nasal discharge 不眠|Insomnia 眼のかゆみ|Ophthalmic Itching sensation 流涙|Epiphora/Lacrimation |
鑑別疾患 |
アレルギー性鼻炎|Allergic Rhinitis 感冒 気管支喘息 血管運動性鼻炎 湿疹 皮膚炎 ウェゲナー肉芽腫症 再発性多発軟骨炎 好酸球性副鼻腔炎 薬剤性鼻炎 急性鼻炎 内因性光線過敏症 |
スクリーニング検査 | Eosinophils|好酸球 [/B,/Rinorrhea] |
異常値を示す検査 |
Allergen-Specific IgE Antibodies|アレルゲン特異IgE/特異的IgE [Positive/S] Allergen-Specific IgE Multiple Antigen Simultaneous Test|アレルゲン特異IgE-MAST [Positive/S] Allergen-Specific IgG4 Antibodies|アレルゲン特異的IgG4抗体/アレルゲン特異的IgG/抗アレルゲン特異的IgG4抗体 [Positive/S] Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【アレルゲン特異IgE】 陽性であるが偽陰性の場合もあるので注意する。アレルゲン特異IgEはI型アレルギーの主要抗体で約200種のアレルゲンが測定可能である。臨床的にはアレルギーの原因の確定、スコア算出によるアレルギーの程度判定や経過観察に有用である。 【アレルゲン特異IgE-MAST】 陽性になる。アレルゲン特異IgE-MASTは吸入系16種、食餌系16種の2系統があり、一度に多種類のアレルゲンの同時測定が出来る。吸入系は14種の吸入性アレルゲンと2種の食物アレルゲンの検索が可能で、食餌系は4種の吸入性アレルゲンと12種の食物アレルゲンの検索が可能である。臨床的にはアレルギー疾患が疑われるが、原因アレルゲンが不明の場合のスクリーニングに用い、アレルゲンの確定にはアレルゲン特異IgEを測定する。データの解釈に当たっては、季節変動を考慮する。 【好酸球】 鼻汁の好酸球は発作時期に陽性で、非発作時期には陰性である。同時に末梢血の好酸球も増加する。アレルギー性鼻炎ではアレルゲン、アレルゲン特異IgE抗体、肥満細胞表面IgEレセプターの結合で肥満細胞顆粒から好酸球遊走因子が放出され、好酸球が鼻粘膜上に集まる。この検査は鼻汁中の好酸球の大凡の数を顕微鏡(100~200倍)で観察(多く散在1+、塊状集簇3+、中間2+)するものである。臨床的には鼻汁中の好酸球数を算定しアレルギー性鼻炎の診断と治療効果判定に用いる。異常値を見た場合はIgE定量、アレルゲン検索を行う。 【鼻粘膜抗原誘発試験】 鼻粘膜にアレルゲンを浸み込ませた濾紙を入れると、本症なら鼻汁分泌が起こる。 【ヒスタミン遊離試験】 高値になる。HRTは末梢血液中の好塩基球に付着したIgEとアレルゲンが結合して生じるヒスタミンを試験管内で測定するもので、I型アレルギーの確認の目的で用いる。測定可能なアレルゲンは食物性では卵白、牛乳、小麦、コメ、大豆、吸入性ではヤケヒョウダニ、ネコ上皮、スギ、カモガヤ、ブタクサである。 【アレルゲン特異的IgG4抗体】 異常値を示す。IgGは4つのサブクラスがあり、IgG4抗体はアレルゲン特異IgG抗体のサブクラス抗体を測定するものである。IgG4はmast cellや好塩基球のレセプターと結合性があり、アレルギーとの関連が示唆されている。臨床的には皮膚反応やIgE抗体で診断が困難な食物アレルギーの診断に有用とされ、また減感作療法の効果判定にも用いられる。 【皮膚試験】 皮内テスト、スクラッチテスト、プリックテストはいずれも陽性である。 |
検体検査以外の検査計画 | 誘発試験 |