疾患解説
フリガナ | アレルギーセイビエン |
別名 | |
臓器区分 | アレルギー疾患 |
英疾患名 | Allergic Rhinitis |
ICD10 | J30.4 |
疾患の概念 | アレルギー性鼻炎は、季節性または通年性の鼻閉、水性鼻漏、発作性反復性くしゃみを3主徴とする鼻粘膜のⅠ型アレルギーで、ダニ、ハウスダスト、花粉などの抗原と特異的IgE抗体とが反応して肥満細胞から化学物質が放出されることにより発症する。季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)は、季節によって様々な植物由来のアレルゲンによって引き起こされる。一般的な植物由来のアレルゲンには、春:樹木の花粉(スギ、ヒノキ、カシ、ニレ、カエデ、ハンノキ、カバ、ネズ)、夏:イネ科の植物の花粉(ギョウギシバ、オオアワガエリ、ハルガヤ、カモガヤ、セイバンモロコシ)および雑草の花粉(オカヒジキ、オオバコ)、秋:雑草の花粉(ブタクサ)などである。通年性鼻炎は室内の吸入アレルゲン(チリ、ダニ、ゴキブリ、動物のフケ)への1年を通じた曝露によって引き起こされる。 |
診断の手掛 | 鼻閉、水性鼻漏、発作性反復性のくしゃみを3主徴とする症状を訴える患者を診たら本症を疑う。本症は鼻症状の他に、眼異物感、眼瞼腫脹感、流涙などの眼症状を合併することもある。症状は30歳代迄に現れることが一般的で、加齢と共に症状は軽減するが、完全な自然寛解は稀である。副鼻腔の閉塞は、頻発する合併症で、前頭部痛を引き起こすことがある。通年性鼻炎の最も顕著な特徴は、慢性的な鼻閉で、小児では慢性中耳炎を発症することがある。アレルギー性鼻炎は、殆どの場合、病歴のみで診断できるが、治療に患者が反応しない場合は皮膚テスト、アレルゲン特異的血清IgE検査が必要である。 |
主訴 |
かゆみ|Itching くしゃみ|Sneezing/Stemutation/Ptarmus 水性鼻漏|Aquagenic rhinorrhea 睡眠障害|Sleep disorder 咳|Cough 痰|Sputum 鼻出血|Nosebleed/Nasal hemorrhage/Epistaxis 鼻汁|Rinorrhea 鼻閉|Rhinostenosis/Rhinodeisis 鼻漏|Rhinorrea/Nasal flow/Nasal discharge モーニングアタック|Morning attack |
鑑別疾患 |
急性鼻炎 血管運動性鼻炎 非アレルギー性鼻炎 副鼻腔炎 花粉症|Hay Fever ANCA関連肺疾患 気管支喘息 |
スクリーニング検査 | Eosinophils|好酸球 [/B,/Nasal Dischage] |
異常値を示す検査 |
Allergen-Specific IgE Antibodies|アレルゲン特異IgE/特異的IgE [/S] Allergen-Specific IgE multiple Antigen Simultaneous Test|アレルゲン特異IgE-MAST [/S] Cedar Pollen-specific IgE Antibodies [/S] Histamine Release Test|ヒスタミン遊離試験/アレルゲン刺激ヒスタミン遊離測定/アレルゲン刺激性遊離ミスタミン [Positive/B] Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【鼻汁好酸球】 90%以上の症例で陽性である。好酸球が増加しているが、皮膚試験陰性の場合はアスピリン過敏症または好酸球増多性鼻炎が示唆される。 【アレルゲン特異的血清IgE検査】 治療に反応しない場合に限ってアレルゲン特異的血清IgE検査が必要である。アレルゲン特異IgEはI型アレルギーの主要抗体で約200種のアレルゲンが測定可能である。臨床的にはアレルギーの原因の確定、スコア算出によるアレルギーの程度判定や経過観察に有用である。 【アレルゲン特異IgE-MAST】 アレルゲン特異IgE-MASTは吸入系16種、食餌系16種の2系統があり、一度に多種類のアレルゲンの同時測定が出来る。吸入系は14種の吸入性アレルゲンと2種の食物アレルゲンの検索が可能で、食餌系は4種の吸入性アレルゲンと12種の食物アレルゲンの検索が可能である。臨床的にはアレルギー疾患が疑われるが、原因アレルゲンが不明の場合のスクリーニングに用い、アレルゲンの確定にはアレルゲン特異IgEを測定する。データの解釈に当たっては、季節変動を考慮する。 【ヒスタミン遊離試験】 クラス1~4の陽性になる。HRTは末梢血液中の好塩基球に付着したIgEとアレルゲンが結合して生じるヒスタミンを試験管内で測定するもので、I型アレルギーの確認の目的で用いる。測定可能なアレルゲンは食物性では卵白、牛乳、小麦、コメ、大豆、吸入性ではヤケヒョウダニ、ネコ上皮、スギ、カモガヤ、ブタクサである。 |
検体検査以外の検査計画 | 鼻鏡検査、鼻粘膜誘発試験 |