疾患解説
フリガナ | カンセンイショウ |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Hepatic Fibrosis |
ICD10 | K74.0 |
疾患の概念 | 肝組織内に肝細胞損傷に対する反応として、コラーゲンや細胞外基質の成分が蓄積された状態である。肝線維化の原因として最も頻度が高いものは、B型およびC型肝炎とアルコール乱用である。線維化の進展は、炎症細胞が細胞外基質を産生する細胞を活性化するサイトカインを分泌するためとされている。肝血管周囲の脂肪を貯蔵する伊東細胞と呼ばれる星細胞が活性化し線維化が始まる。星細胞と隣接する細胞が増殖し、筋線維芽細胞になり、過剰な量のコラーゲン、糖蛋白および多糖類からなる異常基質とmatricellular 蛋白を産生する。クッパー細胞、傷害を受けた肝細胞、血小板および白血球が凝集し、結果として活性酸素や血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子、結合組織成長因子などの炎症メディエータが放出される。星細胞の活性化は、細胞外基質の量と組成に影響し、線維化が進展し、線維化は肝細胞虚血による肝細胞機能障害と門脈圧亢進症を起こし症状を引き起こす。 |
診断の手掛 | 肝線維症そのものは症状を引き起こさない。症状は、門脈圧亢進症や肝硬変の進展に伴って二次性に出現する。症状としては、静脈瘤出血、腹水、門脈大循環性脳症などがあるが、門脈圧亢進症はしばしば肝硬変が生じるまでは無症状であり、診断は肝生検が唯一の方法である。 |
主訴 |
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis 脾腫|Splenomegaly 貧血症状|Anemic symptom 腹水|Ascites 浮腫|Edema/Dropsy 門脈圧亢進症状|Portal hypertension |
鑑別疾患 |
アルコール性肝障害|Alcoholic Liver Disease 肝嚢胞 住血吸虫症|Schistosomiasis 嚢胞腎 |
スクリーニング検査 |
Platelets|血小板 [/B] Prothrombin Time|プロトロンビン時間 [/P] |
異常値を示す検査 |
Neuron-specific Enolase|神経特異エノラーゼ [/S] Procollagen Type III Peptide|プロコラーゲンIIIペプチド [/S] Thrombopoietin|トロンボポエチン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【肝生検】 診断、進行度判定および肝線維化の基礎疾患の診断におけるゴールドスタンダードである。しかし、肝生検は侵襲的検査であり、10~20%の頻度で軽微な合併症を、0.5%~1%の頻度で出血などの重篤な合併症を引き起こすリスクがある。 【プロコラーゲンIIIペプチド】 高値になる。P- III-PはIII型コラーゲンが細胞外で切り離されて生成されたペプチドで、III型コラーゲンの産生が亢進するとP-III-Pも増加し血液中に漏出する。III型コラーゲンは炎症反応に付随して産生量が増加するが、臨床的には肝疾患、特に肝硬変での産生量が多い。 |
検体検査以外の検査計画 |