疾患解説
フリガナ | サルモネラカンセンショウ |
別名 | サルモネラ感染症 |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Salmonellosis |
ICD10 | A02.9 |
疾患の概念 | サルモネラ症は、約2,000もの血清型を示すSalmonera菌属による感染症の総称で、主として急性の胃腸炎、菌血症および局所感染症を引き起こす。乳幼児と高齢者の年齢的に両極端の層が罹患し易いとされている。全身性疾患を発症する腸チフス、パラチフスはチフス性疾患としてサルモネラ感染症とは区別されている。この疾患は、多くの感染動物、それらに由来する食品および排泄物との直接的および間接的な接触で発症する。汚染された食肉、家禽、生乳、卵がSalmonella属細菌の主な感染源である。本症は無症状の保菌状態となることもあるが、1年以上に亘る便への持続的な菌の排出は、感染患者の0.2~0.6%でしかみられない。 |
診断の手掛 | 感染すると胃腸炎、Enteric fever、菌血症、局所疾患を発症する。胃腸炎は、汚染物摂取12~48時間後に悪心、腹部痙攣痛で始まり、1日10回以上の水様性下痢、血便、悪心、嘔吐、38℃以上の発熱を訴える。症状は一般に軽症で1~4日後に消褪するが、重度の遷延性疾患が起こることもある。Enteric feverは腸チフスより軽症で、発熱、極度の疲労感、菌血症が特徴である。菌血症は、胃腸炎患者では比較的稀であが、血清型のうちS. Choleraesuis、S. Typhimurium、S. Heidelbergは、1週間以上持続してしばしば致死的となる菌血症症候群を引き起こすことがあり、症状としては長引く発熱、頭痛、全身倦怠感、悪寒がみられるが、下痢は稀である。局所感染症は肝臓、胆のう、虫垂などの消化管、動脈のアテローム性プラーク、回腸、大腿動脈瘤または大動脈瘤、心臓弁などの内皮表面、心膜、髄膜、肺、関節、骨、泌尿生殖器、軟部組織などに見られる。局所感染の原因菌はS. CholeraesuisおよびS. Typhimuriumである。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 血便|Bloody stool/Hemorrhagic stool/Hematochezia 下痢|Diarrhea 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain 腹部痙攣痛|Abdominal spastic pain |
鑑別疾患 |
感染性胃腸炎 エルシニア感染症 カンピロバクター感染症 菌血症 細菌性赤痢|Bacillary Dysentery 腸炎ビブリオ感染症 腸管出血性大腸菌感染症 腸チフス|Typhoid Fever ボツリヌス中毒|Botulism ウイルス性胃腸炎 コレラ|Cholera |
スクリーニング検査 |
Potassium|カリウム [/S] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] |
異常値を示す検査 | |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 核左方移動を伴う白血球増加を認める。血小板は基準範囲内か増加する。 【UN】【クレアチニン】 脱水の程度により高値を示すことがある。 【血液培養】 病巣感染型では陽性になるので必ず行う。ただし、血液培養が陽性であるのは最初の2週間のみである。 【サルモネラ血清型】 2,300以上の血清型が知られている。ヒトに良くみられるのは約20種であり、サルモネラ・エンテリティディス(ゲルトネル菌)が最多である。 【糞便細菌培養】 分離同定は抗菌薬投与前に検体を採取する。糞便培養は3~5週の間は陽性である。血液も糞便も陰性の場合は骨髄生検材料の培養で菌が検出されることがある。 |
検体検査以外の検査計画 |