疾患解説
フリガナ | モウサイケッカンカクチョウセイウンドウシッチョウショウ |
別名 | |
臓器区分 | アレルギー疾患 |
英疾患名 | Ataxia-Telangiectasia |
ICD10 | G11.3 |
疾患の概念 | T細胞の欠損が原因で、進行性の小脳運動失調、眼・皮膚の毛細血管拡張、再発性上下気道感染を引き起こす遺伝性疾患で、常染色体劣性遺伝形式をとり、第11染色体に存在する遺伝子ATMの異常で発症する。この疾患は、DNA修復障害が原因であり、高い頻度で液性免疫および細胞性免疫の欠損を引き起こす。 |
診断の手掛 | 小児期の歩き始める時期に、運動失調と毛細血管拡張が見られたら本症を疑う。その後、徐々に神経学的症状が進行し、話し方が不明瞭になり、舞踏病アテトーシス運動、眼振、筋萎縮が現れる。毛細血管拡張は眼球結膜、耳、肘前窩、膝窩、頸部外側に顕著に見られる。反復性の肺感染症は、反復性肺炎、気管支拡張症、慢性の拘束性肺疾患を発症する。白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍、胃癌の発症頻度が高く、これらの疾患は、10歳以降1年に約1%の頻度で発症するが、生涯にわたるリスクで、あらゆる年齢で発症する可能性があるので、注意深い経過観察が必要である。また、性腺発育不全、精巣萎縮、糖尿病などの内分泌異常を発症することがあるので、定期的に検査を行う。 |
主訴 |
易感染性|Susceptibility to infection 運動失調|Ataxia 眼振|Nystagmus 筋萎縮|Muscle atrophy 結膜毛細血管拡張|Telangiectasia of conjunctiva 小脳性運動失調|Cerebellar ataxia 皮膚毛細血管拡張|Telangiectatic skin 舞踏病様運動|Choreic movement |
鑑別疾患 |
性器発育異常 精巣萎縮 糖尿病|Diabetes Mellitus 白血病 脳腫瘍|Cerebral Tumor 胃癌|Gastric Cancer |
スクリーニング検査 |
α-Fetoprotein|α-フェトプロテイン [/S] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Lymphocytes|リンパ球 [/B] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Immunoglobulin A2|免疫グロブリンA2 [/S] Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S] Immunoglobulins|免疫グロブリン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【AFP】 癌の発生頻度が高くAFPは通常上昇している。 【IgA】 小脳性運動失調で、特に毛細血管拡張がみられる場合は、患者の80%はIgA低値である。 【CEA】 高値になる。CEAは大腸癌から分離された分子量18~20万の糖蛋白で、胎児消化器粘膜と共通の抗原性がある。生理的には細胞間接着因子として癌細胞同士の接着に関与していると考えられている。CEAは皮膚、食道、胃、大腸、膵、乳腺、肺胞、気管支、甲状腺、胆嚢、胆管、尿管などの正常組織でも発現しているが、血中には極めて小量しか移行しない。 【T細胞】 減少する。T細胞はその成熟・分化に胸腺が重要な役割を果たしているリンパ球で、細胞性免疫機能の中心的役割を持つ。生理機能はヘルパーT細胞として免疫応答の活性化、サプレッサーT細胞として免疫応答抑制やキラーT細胞としてウイルス感染細胞や癌細胞の排除などであるる。臨床的にはヘルパー活性、サプレッサー活性、キラー活性などを調べる機能検査により、種々の疾患への関与が評価出来る。 【B細胞】 正常である。B細胞は骨髄の幹細胞から分化・増殖し末梢リンパ節に分布している液性免疫機能の中心的役割を持つ細胞である。組織中のB細胞は75%が脾に存在し末梢血管中には15%存在する。細胞表面に免疫グロブリン分子を持ち抗原に反応するレセプター機能として働いている。また、Fc受容体や補体第3成分に対する受容体も持つ。この細胞の主要な機能は抗体産生能で、臨床的にはこの細胞を非特異的に刺激するレクチンやT細胞との混合培養で機能検査を行う。 【免疫グロブリン】 大部分の患者でIgAおよびIgMの欠失が見られる。 【遺伝子検査】 核型分析では、DNA修復の欠陥と一致した染色体切断がみられることが多い。ATMタンパクの遺伝子の両アレルで変異が同定されれば診断は確定する。 |
検体検査以外の検査計画 |