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疾患解説

フリガナ ゲッケイゼンショウコウグン
別名 月経前緊張症
臓器区分 女性性器疾患
英疾患名 Premenstrual Syndrome
ICD10 N94.3
疾患の概念 月経前症候群は、易刺激性、不安、情緒不安定、抑うつ、浮腫、乳房痛、頭痛を特徴とする症状が、月経の7~10日前から発症し、月経開始後数時間で治まる疾患である。日本産科婦人科学会の定義では「月経前3~10日の黄体期の間に続く精神的あるいは身体的症状で、月経の発来とともに減退ないし消失するもの」とされている。本症は複数の内分泌性の要因によって引き起こされると考えられている。生殖可能年齢の女性の約20~50%にみられ、約5%の患者は月経前不快気分障害と呼ばれる重症型が見られる。原因は不明であるが、可能性のある原因として、低血糖、炭水化物代謝の異常、高プロラクチン血症、エストロゲンおよびプロゲステロンの変動、エストロゲンおよびプロゲステロンへの異常反応、アルドステロンやADHの過剰、および遺伝的素因などが挙げられる。
診断の手掛 月経の7~10日前に過敏性、不安、抑うつ、浮腫、乳房痛、頭痛などを訴える患者を診たら本症を疑う。症状の種類と程度の強さは患者と月経周期により異なる。症状は数時間~10日以上持続し、月経が始まると治まるが、ストレス時や閉経期ではより重度になることがある。最も頻度の高い症状は、易刺激性、不安、興奮、怒り、不眠症、集中困難、嗜眠、抑うつ、疲労感である。体液貯留により浮腫、一時的な体重増加、乳房の張りと疼痛が生じる。また、骨盤部の重感や圧迫感、背部痛が起こることがある。若年女性では、月経が始まる際に月経困難症の症状が現れることがある。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
肩こり|Stiff neck and shoulder
過敏|Irritation/Hypersensitivity
下腹部痛|Hypogastric pain
下腹部膨満感|Sense of hypogastric fullness
集中力低下|Loss of concentration
頭痛|Headache/Cephalalgia
動悸|Palpitations
乳房痛|Mastalgia
発汗|Sweating/Perspiration/Hidropoiesis
不安|Anxiety
腹痛|Abdominal pain
浮腫|Edema/Dropsy
不眠|Insomnia
めまい|Dizziness
腰痛|Low back pain/Lumbago
抑うつ状態|Depressive state
鑑別疾患 月経困難症|Dysmenorrhea
子宮筋腫
子宮内膜症|Endometriosis
卵巣腫瘍
スクリーニング検査 Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
異常値を示す検査 Aldosterone|アルドステロン [/S]
Anti-Diuretic Hormone|アルギニンバゾプレッシン/抗利尿ホルモン/バゾプレシン [/S]
Estradiol|エストラジオール/E2 [/S]
Progesterone|プロゲステロン/プロジェステロン [/S]
Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/P]
関連する検査の読み方 【エストラジオール】【プロゲステロン】
黄体期のE2とP4を測定し、E2の過剰分泌によるP4の相対的低下を確認する。E2は最も強いエストロゲン作用を持つホルモンで、卵巣と胎盤で産生され、卵巣の成熟に伴い増加し更年期になると減少する。正常月経周期を持つ女性では黄体形成ホルモンサージの一日前にピークを示し、排卵日頃に一度低下した後、黄体期に再び上昇する性周期を示す。卵巣から分泌されるE2は、下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)により分泌が調節されるが、LHとFSHの分泌を調節するネガティブフィードバック機構もある。臨床的にはFSHと共に卵巣機能の評価に用いられる。P4はプレグネノロンを基質として主として卵巣の黄体と胎盤で産生されるステロイドホルモンで、血中では90%はアルブミンと結合している。血中濃度は卵胞期には低いが排卵後黄体形成と共に増加し、黄体退縮と共に減少する。妊娠が成立すると黄体は妊娠黄体になるため産生が維持され血中濃度は高値を保つが、妊娠10週前後になると産生は胎盤に移行する。
【セロトニン】
PMSに最も影響を受ける女性が、より低いセロトニン値を示すため、セロトニン欠乏が一因であると考えられている。
【甲状腺機能検査】
甲状腺疾患との鑑別に必要である。
検体検査以外の検査計画 骨盤内超音波検査、MRI検査

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