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疾患解説

フリガナ セイソウキノウテイカショウ
別名 男性性腺機能低下症
臓器区分 内分泌疾患
英疾患名 Testicular Hypofunction
ICD10 E29.1
疾患の概念 精巣でのテストステロン産生低下、精子形成不全またはその両者を伴う疾患で、原発性と続発性に分けられ、精巣の疾患に起因する場合(原発性性腺機能低下症)と、視床下部-下垂体系の疾患に起因する場合(続発性性腺機能低下症)がある。原発性は、精巣の卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンに対する反応不全が原因で、続発性は視床下部または下垂体の不全による。原発性性腺機能低下でテストステロン産生が障害されると、FSHおよびLHの産生を阻害するテストステロンの働きが不十分となり、結果としてFSHおよびLH濃度が上昇する。原発性性腺機能低下症の最も頻度の高い原因は、クラインフェルター症候群である。続発性性腺機能低下症は、視床下部でゴナドトロピン放出ホルモンが産生されなくなるか、下垂体でFSHおよびLHが十分に産生されなくなる病態で、テストステロン濃度が低く、FSHおよびLH濃度は低値になる。
診断の手掛 臨床像は、テストステロン欠乏症の発症年齢により決まる。小児期発症型テストステロン欠乏症は、思春期の遅延がみられるまで認識されない。無治療の性腺機能低下症では、第二次性徴の発現が障害され、患者は筋発達不良、高い声、小さな陰嚢、精巣の発育不良、薄い陰毛と腋毛ならびに体毛の欠如が見られる。女性化乳房が見られることもある。成人発症型テストステロン欠乏症は、ホルモン欠乏の程度と持続期間で臨床像が変わり、性欲減退、勃起障害、視空間認の低下、睡眠障害、血管運動の不安定性および抑うつや怒りなどがよく見られる。テストステロンの欠乏は、冠動脈疾患のリスクを上昇させる可能性がある。
主訴 インポテンツ|Impotence
女性化乳房|Gynecomastia
睡眠障害|Sleep disorder
二次性徴欠如|Absence of secondary sex characteristics
認知障害|Cognitive impaorment/Dementia
抑うつ状態|Depressive state
鑑別疾患 体質的思春期遅発症
下垂体障害
視床下部障害
間脳障害
スクリーニング検査 Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
PSA|前立腺特異抗原 [/S]
異常値を示す検査 17-Hydroxycorticosteroids|17-ヒドロキシコルチコステロイド [/U]
17-Ketogenic Steroids|17-ケトジェニックステロイド [/U]
17-Ketosteroids|17-ケトステロイド [/U]
Androgens|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [/P]
Creatine|クレアチン [/U]
Estrogens|総エストロゲン(非妊婦)/エストロゲン(非妊婦) [/P]
Gonadotropin, Pituitary|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/U, /U]
Luteinizing Hormone|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/U, /U]
Reticulocytes|網赤血球/レチクロサイト/網状赤血球数 [/B]
Serine|セリン [/S]
Sex-Hormone Binding Globulin|性ホルモン結合グロブリン [/S]
Testosterone|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
ヘモグロビンとヘマトクリットが基準範囲を下回る。
【テストステロン】
早朝にテストステロンが200ng/dL未満なら、アンドロゲン欠乏と考える。テストステロンは一日での最大値になる午前の非空腹時に採血した検体で測定する。
【黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン】
テストステロンは精巣のLeydig細胞で産生される男性ホルモン作用の最も強力なアンドロゲンで、血中では大部分が性ホルモン結合グロブリン(SHBG)と結合しているが生物活性を持つ遊離型は1~3%に過ぎない。女性では副腎と卵巣で産生される。生理作用は男性では性器発育と機能の維持、蛋白同化作用、脂肪異化作用、体毛発育であるが、女性が過剰分泌を起こすと無月経、多毛などの男性化徴候をきたす。臨床的には男性ホルモン産生過剰、視床下部下垂体機能低下が疑われる症状を見た場合に測定する。LHが基準範囲以内なら原発性精巣機能低下症、低値なら続発性を疑う。テストステロン>350ng/dLの時はアンドロゲン欠乏は否定的である。LH/FSHは男性性機能の中心である睾丸と女性性機能の中心である卵巣をコントロールしている性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)で、精巣からテストステロンとインヒビンを、卵巣からエストロゲンとプロゲステロンを分泌させる。臨床的には男性では睾丸機能障害、女性では排卵障害が疑われる時に両者を同時に測定し低値、高値、正常の組み合わせから疾患を判断する。また、黄体形成ホルモン放出ホルモンの分泌能、卵巣・精巣機能も把握できる。
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