疾患解説
フリガナ | ハンチントンビョウ |
別名 |
ハンチントン舞踏病 慢性進行性舞踏病 遺伝性舞踏病 |
臓器区分 | 神経・筋疾患 |
英疾患名 | Huntington's Chorea |
ICD10 | G10 |
疾患の概念 | 舞踏病運動と進行性の認知能低下を特徴とする、常染色体優性遺伝形式をとる疾患で、舞踏運動、認知症、精神症状が3大徴候で、中年期の男女に等しく発症する。原因は、グルタミンをコードする遺伝子の変異により産生されるハンチントン蛋白である。 |
診断の手掛 | 30~50歳台に舞踏運動、認知障害、精神障害を訴える患者を診たら本症を疑う。初発症状は、舞踏運動と精神障害による行動異常の2つの症状のどちらか、あるいは両方である。常染色体優性遺伝性疾患である歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症が臨床的に類似しているので注意する。 |
主訴 |
運動失調|Ataxia 運動障害|Dyskinesia 嚥下障害|Dysphagia 随意運動障害|Voluntary movement disturbance 精神障害|Mental disorder 認知障害|Cognitive impaorment/Dementia 不随意運動|Involuntary movement 舞踏病様運動|Choreic movement 歩行障害|Gait disturbance 抑うつ状態|Depressive state |
鑑別疾患 |
脊髄小脳変性症 良性遺伝性舞踏病 有棘赤血球舞踏病 McLeod症候群 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 |
スクリーニング検査 |
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Alanine|アラニン [/P] Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/P] Copper|銅 [/S] Free Fatty Acids|遊離脂肪酸/非エステル型脂肪酸/FFA [/S] Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [/CSF] Isoleucine|イソロイシン [/P] Leucine|ロイシン [/P] Proline|プロリン [/P] Quinolinic Acid [/CSF] Tryptophan, Free [/P] Tyrosine|チロシン [/P] Valine|バリン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【遺伝子診断】 原因遺伝子である、第4染色体短腕先端部に局在するHuntington遺伝子内のCAG反復配列の異常伸長を検出する。 【γ-アミノ酪酸】 減少する。GABAは脳、膵、肝などで産生されるアミノ酸神経伝達物質で、作動性ニューロンは大脳、小脳、海馬、基底核などに分布している。血中のGABAは脳血液関門を通過出来ないので、髄液中の濃度は中枢神経系のγ-アミノ酪酸作動性ニューロンの活動を反映している。血中GABAの測定は治療としてのγ-アミノ酪酸分解酵素阻害剤投与時の効果判定の指標として、また髄液中の測定は脳、脊髄のγ-アミノ酪酸作動性ニューロン機能の指標として行う。 【サブスタンスP】 減少する。サブスタンスPは神経系や消化管に分布しているタキキニンペプチドの一種で、肥満細胞や白血球の活性化、血管透過性亢進、平滑筋収縮などの作用がある。脊髄では知覚線維から分泌され疼痛を起こす 【フェリチン】 減少することがある。 |
検体検査以外の検査計画 | 頭部CT検査、頭部MRI検査、PET検査 |