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疾患解説

フリガナ ヘリコバクターピロリカンセンショウ
別名
臓器区分 感染性疾患
英疾患名 Helicobacter Pylori Infection
ICD10 B96.8
疾患の概念 H. pyloriは、酸性環境での増殖に順応した、らせん状のグラム陰性菌で、我が国の感染者は、5,000~6,000万人と推定されているが、殆どの感染者は無症候のままで、一部が胃・十二指腸潰瘍、胃癌、胃MALTリンパ腫、血小板減少性紫斑病などを発症している。この菌は、糞便、唾液、歯垢から培養されることから、経口または糞口感染が示唆され、感染者は、年齢とともに増加し、60歳までに約50%が感染する。胃前庭部の感染では、ソマトスタチン分泌が局所的に障害されることで、ガストリン産生が亢進し、その結果として胃酸が過剰分泌され、幽門前部および十二指腸潰瘍を発症する。胃体部の感染では、局所でのインターロイキン-1β産生の亢進により、胃粘膜萎縮と胃酸分泌の低下が起こり胃潰瘍や腺癌を発症する傾向がある。感染者は、胃癌を発症するリスクが3~6倍高く、H. pylori感染と胃体部および胃前庭部の腺癌との関連は認められるが、胃噴門部の癌とは関連がない。その他、関連のある悪性腫瘍として、胃リンパ腫やMALTリンパ腫がある。この菌はウレアーゼ活性を持ち、これが尿素を分解してアンモニアを発生し組織障害を起こす。
診断の手掛 殆どの感染者は、無症状に経過するので、健診などで見つかることが多い。胃・十二指腸潰瘍が疑われる症状を訴える患者には積極的に検査を行う。
主訴 嚥下障害|Dysphagia
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
消化管出血|Gastrointestinal bleeding
腹痛|Abdominal pain
胸焼け|Heartbum/Pyrosis
鑑別疾患 胃癌|Gastric Cancer
胃MALTリンパ腫
胃腸炎|Gastroenteritis
胃リンパ腫
胃潰瘍/十二指腸潰瘍|Gastric/Duodenal Ulcer
ボツリヌス中毒|Botulism
慢性胃炎
特発性血小板減少性紫斑病|Idiopathic Thrombocytopenic Purpura(ITP)
スクリーニング検査
異常値を示す検査 Helicobacter pylori Antibodies|ヘリコバクター・ピロリ抗体/抗ヘリコバクター・ピロリ抗体 [/S]
Helicobacter pylori IgA Antibodies|ヘリコバクター・ピロリ抗体/抗ヘリコバクター・ピロリ抗体 [/S]
Helicobacter Pylori Stool Antigen|ヘリコバクター・ピロリ便中抗原/便中ヘリコバクターピロリ抗原 [Positive/Feces]
Rapid Urease Test|迅速ウレアーゼ試験/ヘリコチェック/ピロリテック [Positive/Tissue]
Urea Breath Test|尿素呼気試験/ユービット [Positive/Expiration]
関連する検査の読み方 【ヘリコバクター・ピロリ抗体】
陽性である。感度85%、特異度は79%なので、第一選択の検査である。抗体は除菌成功後も18ヶ月は陽性なので、除菌成功の目安にはならない。
【迅速ウレアーゼ試験】
生検組織を用いて行う。感度、特異度ともに高いので、組織標本の第一選択診断法である。結果が陰性であっても生検標本は組織染色を行うべきである。感度、特異度は90%以上である。ピロリ菌は強いウレアーゼ活性をもつため尿素を水、アンモニア、二酸化炭素に分解する。生検組織を試薬である尿素液に入れると、ピロリ菌がいればアンモニアが発生し試薬中のフェノールレッドが黄色から赤に変色する。これにより組織中のピロリ菌の存在が確認できる。臨床的には内視鏡検査で病変が認められたら、生検を行いピロリ菌感染を確認するために行う。
【尿素呼気試験】
非侵襲性、簡便で感度、特異度ともに95%と高く、除菌後の判定に有用である。最近の抗生物質とプロトンポンプ阻害薬は偽陽性結果をもたらす可能性があるので、検査は抗生物質治療後4週間以上、プロトンポンプ阻害薬療法後1週間経過してから行う。H2ブロッカーは検査に影響を与えない。UBTはヘリコバクター・ピロリ菌の持つ強力なウレアーゼ活性を利用して胃粘膜内のピロリ菌を間接的に検出する方法で、非観血的方法であること、点の検査でなく胃粘膜全体の面の検査であることからピロリ菌診断の最も信頼出来る方法である。
【ヘリコバクター・ピロリ便中抗原】
陽性である。感度91%、特異度93%と高く、モノクローナル抗体を用いる方法は感染診断、除菌判定ともに信頼性が高いポリクローナル抗体を用い複数のヘリコバクター・ピロリ抗原を認識出来るキットによる迅速検査で、自宅で採取した糞便中の抗原の検出も可能である。臨床的には除菌治療の効果判定に尿素呼気試験と共に推奨され、特に尿素呼気試験が困難な小児などで有用性が高い。。
【胃生検】
迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検法、培養法の検体として用いる。培養は条件が面倒なため有用性が限られる。生検組織中にウレアーゼが存在すれば、特殊な培地上で色の変化が起こるので、生検材料検査の第一選択である。
検体検査以外の検査計画 内視鏡検査、尿素呼気試験
疾患

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