疾患解説
フリガナ | ジルベールショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Gilbert's Syndrome |
ICD10 | E80.4 |
疾患の概念 | 間接型高ビリルビン血症を示す常染色体優性遺伝形式をとる疾患で、日本人の発症率は5%である。原因はビリルビン・グルクロン酸転移酵素の活性低下と考えられている。症状を伴わない軽度の非抱合型高ビリルビン血症以外は無症状で、血清ビリルビン値は2~5mg/dLを変動し、絶食やストレスで上昇する傾向がある。発症機序は、肝臓へのビリルビンの取込みの際の欠陥と考えられている。患者はグルクロン酸転移酵素活性が低いが、Crigler-Najjar症候群II型ほどではない。多くの患者で、赤血球崩壊がわずかに促進されるが、これで高ビリルビン血症の原因を説明することはできない。肝臓の組織像は正常である。 |
診断の手掛 | 暗色尿を伴わない軽度の黄疸を見たら本症を疑う。ビリルビン値は通常2~5mg/dL未満で変動し、絶食やストレスで上昇するが、見かけ上は黄疸が認められないことが多い。肝機能検査に異常がなく尿中にビリルビンが見られないことで肝炎と鑑別出来る。また、貧血や網状球が増加しないことから溶血と区別できる。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 全身倦怠感|General malaise/Fatigue |
鑑別疾患 |
肝細胞性黄疸 Crigler-Najjar症候群 Dubin-Johnson症候群 閉塞性黄疸 溶血性黄疸 Rotor症候群 Gilbert症候群 |
スクリーニング検査 |
Bilirubin|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/S] |
異常値を示す検査 |
BSP Retention|BSP test/ブロムサルファレイン試験 [/S] Cholic Acid [/S] Erythrocyte Survival|赤血球寿命 [/RBC] Indocyanine Green Test|インドシアニングリーン試験/ICG試験 [/S] Urobilinogen|ウロビリノゲン定性(尿) [/Feces] |
関連する検査の読み方 |
【ICG・BSP試験】 基準範囲内であるが、稀にICGの高度停滞をきたす症例がある。 【肝パネル】 肝機能は通常は異常値を示さない。 【ビリルビン】 Crigler-Najjar症候群、Gilbert症候群では間接ビリルビンは通常は4mg/dL以下であるが18 mg/dL程度まで増加することもある。72時間の絶食で2倍以上増加するが、健康人は0.5mg/dLの増加である。Dubin-Johnson症候群、Roteor症候群では直接ビリルビンは5mg/dL程度に増加する。 【誤診】 しばしば慢性肝炎と誤診される。肝組織は正常であり診断のための生検は不必要。 |
検体検査以外の検査計画 | 超音波検査、上腹部CT検査、上腹部MRI検査、腹腔鏡検査 |