疾患解説
フリガナ | スイホウセイルイテンポウソウ |
別名 | |
臓器区分 | 皮膚疾患 |
英疾患名 | Bullous Pemphigoid |
ICD10 | L12.0 |
疾患の概念 | 高齢者に慢性のそう痒を伴う緊満性水疱と浮腫性紅斑が全身に多発する疾患で、表皮基底膜自己抗原に対するIgGタイプの自己抗体が関与している自己免疫性皮膚疾患である。自己免疫性水疱性疾患の中では最も頻度が高く、60歳以上の男性に多く発症する。表皮下水疱は、IgG自己抗体が特定のヘミデスモソーム抗原に結合することで、補体が活性化され形成される。原因としては、1.フロセミド、スピロノラクトン、スルファサラジン、ペニシリン、ペニシラミン、アンスラリン、抗精神病薬などの薬物、2.乳癌に対する放射線療法、紫外線照射などの物理的刺激、3.糖尿病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、扁平苔癬、多発性硬化症などの疾患が挙げられる。 |
診断の手掛 | そう痒が初発症状であるが、水疱などの皮膚病変は数年間、見られない場合もある。屈曲部位および間擦部位の皮膚又は紅斑上に緊満性の水疱を認めたら本症を疑う。紅斑のみの皮膚に特徴的な緊満性水疱が生じる場合が多く、水疱は通常は破れないが、破ても迅速に治癒する。蕁麻疹様または環状でくすんだ赤色の浮腫状病変を認めることもある。ニコルスキー徴候は陰性である。尋常性天疱瘡との鑑別は、尋常性天疱瘡の場合、病変部は様々な大きさの弛緩性水疱が生じ、しばしば皮膚または粘膜が剥離して、疼痛を伴うびらんを残すこと、また病変が口腔から始まる事で可能である。 |
主訴 |
かゆみ|Itching 紅斑|Erythema/Rubedo 水疱|Bulla/Blister 浮腫|Edema/Dropsy |
鑑別疾患 |
後天性表皮水疱症 線状IgA水疱性皮膚症 多形紅斑|Erytema Multiforme(EM) 天疱瘡 疱疹状皮膚炎|Dermatitis Herpetiformis 薬疹|Drug Eruption 良性粘膜性類天疱瘡 |
スクリーニング検査 | Eosinophils|好酸球 [/B] |
異常値を示す検査 |
Anti-BP180 NC16A Antibody|抗BP180NC16a抗体/抗BP180抗体 [Positive/S] Myelin Basic Protein|ミエリン塩基性蛋白/EAE起炎性蛋白 [/S] Soluble E-Cadherin|可溶性E-カドヘリン [/Blister Fluid] Soluble E-Selectin|可溶性E-セレクチン/可溶性CD62E/可溶性ELAM-1 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【生検】 真皮、水泡内に好酸球を主体とした細胞浸潤を認める。 【抗BP180NC16a抗体】 80%以上の患者で陽性、20index以上になる。BP180は表皮と真皮の結合に関与する膜貫通蛋白質で、この膜貫通領域の外側にあるNC16aは類天疱瘡に主要エピトープがある。このためBP180 NC16a蛋白を抗原とすると類天疱瘡の85%が陽性となる。臨床的には類天疱瘡の診断に用いるが、確定診断は臨床所見、病理組織所見などで総合的に判断する。 【直接蛍光免疫検査】 真皮表皮接合部にIgG及びC3が認められる。 |
検体検査以外の検査計画 |