疾患解説
フリガナ | センイキンツウショウ |
別名 |
線維筋痛症候群 筋筋膜痛症候群 結合組織炎 線維筋炎 |
臓器区分 | 膠原病・免疫疾患 |
英疾患名 | Fibromyalgia |
ICD10 | M90.9 |
疾患の概念 | 対称性に複数の圧痛点、筋・腱付着部と隣接した軟部組織のこわばりが特徴的な原因不明の慢性広範筋骨格痛症候群で、20~50歳の女性に最もよく見られ、男女比は1:8程度である。全ての線維筋性組織が罹患するが、特に後頭、頸部、肩関節、胸部、腰部、大腿が侵される。この疾患に関連するこわばりと痛みは、環境的ストレス、精神的ストレス、睡眠障害、外傷、湿気や寒冷への曝露で増悪する。最近の研究では、中枢を介した痛覚感受性の疾患である可能性が示唆されている。 |
診断の手掛 |
20~50歳台の女性が、後頭、頸部、肩などに慢性のこわばりと疼痛を訴えたら本症を疑う。炎症の客観的な徴候がなく、臨床検査に異常がないのが特徴である。頭痛、易疲労感、睡眠障害、腸管過敏症などもよく見られる症状である。患者は、ストレスを感じ、緊張し、不安を覚え、疲労し、治療に積極的になったり、時に抑うつ状態となる傾向がある。多くの患者は、過敏性腸症候群の症状、間質性膀胱炎、片頭痛もしくは緊張型頭痛を有する。1.全身性の痛みおよび圧痛が、特に身体所見と不釣り合いな場合、2.多くの症状を訴えるにもかかわらず臨床検査の結果が陰性の場合、3.主症状として疲労を訴える場合は線維筋痛症を疑うべきである。 【診断基準:1990年米国リウマチ学会】 1.広範囲にわたる疼痛が3ヶ月以上持続、2.触診により18か所の圧痛点のうち11か所以上に圧痛を認める、圧痛点は、後頭部、下部頸椎、僧帽筋、棘上筋、第2肋骨、外側上顆、臀部、大転子、膝の左右の2箇所ずつ。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue しびれ|Numbness 睡眠障害|Sleep disorder 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身痛|Pantalgia 疼痛|Pain/Ache |
鑑別疾患 |
うつ病|Depression 筋炎 関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis 血清反応陰性脊椎関節炎 シェーグレン症候群|Sjogren's Syndrome 腫瘍性骨軟化症 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) 多発性硬化症|Multiple Sclerosis(MS) リウマチ性多発筋痛症|Polymyalgia Rheumatica 慢性疲労症候群|Chronic Fatigue Syndrome(CSF) |
スクリーニング検査 | |
異常値を示す検査 |
Nucleotide Pyrophosphohydrolase,Soluble [/S] Substance P|サブスタンスP/ニューロキニンA [/CSF] |
関連する検査の読み方 |
【ESR】【CRP】 除外診断に必要である。 【甲状腺機能検査】 機能低下症と同様の症状を呈することがある。 【C型肝炎検査】 同様の症状を呈することがあるので、鑑別に必要である。 【筋生検】 異常を認めない。 |
検体検査以外の検査計画 | 疼痛計(Dororimeter)検査、筋電図検査、X線検査、CT検査、MRI検査 |