疾患解説
フリガナ | マンセイヒロウショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 膠原病・免疫疾患 |
英疾患名 | Chronic Fatigue Syndrome(CSF) |
ICD10 | F48.0 |
疾患の概念 | 慢性疲労症候群は、6カ月を超えて持続する、日常生活を変える程の強い疲労を訴える原因不明の病態である。この疾患は、慢性の激しい疲労感に加え、微熱、頭痛、脱力感、睡眠障害、抑うつ気分などの精神症状を伴う。30歳代に発症のピークがあり、男女比は1:2と女性に多い。ウイルス感染、免疫異常、ストレスなどの関与が推定されているが、CSFの患者の近親者は、本症候群を発症するリスクが高く、遺伝的要素または環境曝露が示唆される。最近の研究で、CFSの素因となる可能性がある遺伝子マーカーがいくつか同定されている。 |
診断の手掛 |
発症は突発的で、多くの患者が、感染初期のウイルス性疾患様の症状を訴える。高度の疲労感が、100%出現し、これに加え微熱、筋肉痛、筋力低下、悪心、嘔吐、食欲不振、リンパ節腫脹などの全身症状や抑うつ気分、集中力低下、睡眠障害、頭痛、不安などの神経症状を訴える患者を診たら本症を疑う。 【診断基準:CDC】 下記の2つの特徴が存在することで定義される。 1.臨床的に評価される、説明しがたい、持続的もしくは繰り返す疲労のうち、初めての症状であるか、発症時期がはっきりしているもの、今行っている労作のためではないもの、安政によって軽減されないものであり、職業上、学業上、社会生活上または個人の活動において、発症前よりも実質的な低下が認められるもの。 2.下記の症状が4つ以上、6ヶ月以上にわたって続くか、繰り返す。また、この症候が疲労に先行していない。*自己申告の短期記憶障害、または集中力障害 *咽頭痛 *頸部または腋窩リンパ節痛 *筋肉痛 *発赤や腫脹を伴わない多関節痛 *新たなタイプもしくは、新たな重症度の頭痛 *熟眠感のない睡眠 *運動後24時間以上続く倦怠感。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 過眠|Hypersomnia 関節痛|Arthralgia 筋肉痛|Myalgia 筋力低下|Weakness 高度疲労感|Severe fatigue 食欲不振|Anorexia 睡眠障害|Sleep disorder 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 微熱|Low grade fever/Febricula 不安|Anxiety 腹痛|Abdominal pain 抑うつ状態|Depressive state リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
悪性腫瘍 うつ病|Depression 結核 自己免疫性疾患 線維筋痛症候群 多発性硬化症|Multiple Sclerosis(MS) 伝染性単核球症|Infectious Mononucleosis 貧血 慢性感染症 神経症 真菌症 |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S, /S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S, /S] Leukocytes|白血球数 [/B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Magnesium|マグネシウム [/RBC] Monocytes|単球 [/B] |
異常値を示す検査 |
2-5 Oligoadenylate Synthetase|2-5A合成酵素/2-5オリゴアデニレートシンターゼ [/S] 3-Methoxy-4-hydroxyphenylglycol|3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール [/P] 5-Hydroxyindoleacetic Acid|5-ヒドロキシインドール酢酸 [/P] ACTH response to CRH [/P] Acylcarnitine [/S] Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S] Anti-Smooth Muscle Antibodies|抗平滑筋抗体 [/S] Antinuclear Antibodies|抗核抗体 [/S] Antithyroid Peroxidase Antibodies|抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体/抗マイクロゾーム抗体/マイクロゾームテスト/抗TPO抗体 [/S] Atypical Lymphocytes|異型リンパ球 [/B] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Carnitine|カルニチン分画/ビタミンBT [/S] Carnitine, Free|カルニチン分画/ビタミンBT [/S, /S] CD4+ Lymphocytes [/B] CD8+ Lymphocytes [/B] Cortisol|コルチゾール [/Saliva] Cortisol, Free|コルチゾール [/U] Epstein Barr Virus Antibodies|EBウイルス抗体/抗EBウイルス抗体 [/S] Folate|葉酸/プテロイルモノグルタミル酸/ビタミンM/乳酸菌発育因子 [/S] Glucocorticoids [/P] Immune Complexes|免疫複合体 [/S] Immunoglobulin D|免疫グロブリンD [/S] Insulin-like Growth Factor-I|インスリン様成長因子-1/ソマトメジンC [/S] Interleukin-2|インターロイキン-2 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【2-5A合成酵素】 INF産生亢進により高値を示す。2-5ASはインターフェロンが細胞膜に結合した際に誘導される酵素で、mRNAを分解し蛋白質合成を低下させる作用があり細胞やウイルスの蛋白合成を阻害する。また、ウイルス感染により免疫担当細胞で産生されるためウイルス感染初期の生体防御機構としても働いている。臨床的にこの酵素はインターフェロン療法をする際の生体反応の指標としてHBV-DNAと共に測定される。 【CRP】 基準範囲内。高値を示せば他の疾患を考える。 【ESR】 基準範囲内、亢進すれば他の疾患を考える。 【除外診断】 CBC、電解質、ESR、TSHを測定する。場合によってはA型、B型肝炎抗体、HIV抗体検査を加える。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査 |