疾患解説
| フリガナ | ウツビョウ |
| 別名 | うつ病性障害 |
| 臓器区分 | 精神疾患 |
| 英疾患名 | Depression |
| ICD10 | F32.9 |
| 疾患の概念 | 抑うつ感、不安、悲しみなどの気分の障害と活動性低下、全身倦怠感、集中困難などの思考・意欲障害を特徴とする感情障害を来す疾患である。原因は不明であるが、遺伝、神経伝達物質の変化、神経内分泌機能の変化および心理社会的因子の関与が考えられている。 |
| 診断の手掛 |
主訴(①食欲、体重の変化 ②不眠または睡眠過多 ③精神・運動活動の変化 ④気力の減退 ⑤無価値感や罪悪感 ⑥思考、集中、決断の困難 ⑦自殺念慮)と臨床症状により本症を疑い、DMS-IV-TRの診断基準を参照する。初発症状である殆ど全ての活動に対する興味あるいは喜びの消失を訴えたら、本症を念頭に置き慎重に診断を進める。 【大うつ病診断基準 DMS-IV】 以下の症状のうち、少なくとも1つある。 1.抑うつ気分 2.興味または喜びの喪失 さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ以上が認められる。 3.食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加 4.不眠あるいは睡眠過多 5.精神運動性の焦燥または制止(沈滞) 6.易疲労感または気力の減退 7.無価値感または過剰(不適切)な罪責感 8.思考力や集中力の減退または決断困難 9.死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図 *上記症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり2週間にわたっている症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。 |
| 主訴 |
易疲労感|Fatigue インポテンツ|Impotence 決断力低下|Hypofunction of decisiveness 月経不順|Paramenia 集中力低下|Loss of concentration 焦燥感|Frustration 頭重感|Dull headache 精神機能低下|Hyponoia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 動作緩慢|Slowness of behavior 認知障害|Cognitive impaorment/Dementia 寝汗|Night sweats 悲哀感|Sorrow 不安|Anxiety 不眠|Insomnia 便秘|Constipation 抑うつ状態|Depressive state |
| 鑑別疾患 |
統合失調症|Schizophrenia 神経症 薬剤誘発性うつ病 クッシング症候群|Cushing's Syndrome Sheehan症候群 関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) シェーグレン症候群|Sjogren's Syndrome ペラグラ 脳血管障害 パーキンソン病|Parkinson's Disease(PD) アルツハイマー病|Alzheimer's Disease 認知症|Dementia 適応障害 双極性障害 薬剤(ステロイド、シクロセリン、降圧薬、抗潰瘍薬) |
| スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [ Chloride|クロール [ Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [ C-reactive Protein|C反応性蛋白 [ Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [ Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [ Platelets|血小板 [ Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [ Prothrombin Time|プロトロンビン時間 [ Thyroxine (T4)|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [ Transferrin|トランスフェリン [ Tri-Iodothyronine (T3)|総トリヨードサイロニン/総T3/トリヨードサイロニン/トリヨードチロニン [ Thyroid Stimulating Hormone|甲状腺刺激ホルモン [ α1-Globulin|α1-グロブリン [ α2-Globulin|α2-グロブリン [ β-Globulin|β-グロブリン [ γ-Globulin|γ-グロブリン [ |
| 異常値を示す検査 |
3-Methoxy-4-hydroxyphenylglycol|3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール [ 5-Hydroxyindoleacetic Acid|5-ヒドロキシインドール酢酸 [ Antithyroid Antibodies [ Arginine|アルギニン [ Arginine Vasopressin|アルギニンバゾプレッシン/抗利尿ホルモン/バゾプレシン [ Biopterin|ビオプテリン [ Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [ Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [ Complement C4|補体第4成分/β1Eグロブリン/C4 [ Copper|銅 [ Corticosteroid-Binding Globulin [ Corticotropin|副腎皮質刺激ホルモン/コルチコトロピン [ Cortisol|コルチゾール [ Cortisol, Free|コルチゾール [ Cystine|シスチン [ Dehydroepiandrosterone Sulfate|デヒドロエピアンドロステロンサルフェート [ Dehydroepiandrosterone|デヒドロエピアンドロステロン [ Dexamethasone Suppression|デキサメタゾン抑制試験 [Abnormal/Patient] Dipeptidyl Peptidase IV [ Dopamine|ドーパミン [ Erythropoietin|エリスロポエチン [ GH response to Clonidine [ Glutamine|グルタミン [ Guanosine Monophosphate [ Haptoglobin|ハプトグロビン [ Homocysteine|ホモシステイン/ホモシスチン/総ホモシステイン [ Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [ Interferon-α|インターフェロン-α [ Interferon-γ|インターフェロン-γ [ Interleukin-1 Receptor Antagonist [ Interleukin-10|インターロイキン-10 [ Interleukin-1β|インターロイキン-1β [ Interleukin-2|インターロイキン-2 [ Interleukin-6|インターロイキン-6 [ Isoleucine|イソロイシン [ Leucine|ロイシン [ Lysine|リジン [ Neopterin|ネオプテリン [ Neuropeptide Y|ニューロペプチドY [ Norepinephrine|カテコールアミン総 [ Oxytocin|オキシトシン [ Phenylethylamine [ Prolactin|プロラクチン/乳汁分泌ホルモン [ Prostaglandin 2α [ Prostaglandin D2|プロスタグランジンD2 [ Prostaglandin E2|プロスタグランジンE2 [ Retinol-binding Protein|レチノール結合蛋白 [ Serine|セリン [ Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [ Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [ Soluble Interleukin-6 Receptor [ Soluble Transferrin Receptor [ Soluble β-Amyloid Peptide 40 [ Soluble β-Amyloid Peptide 42 [ Tetrahydrobiopterin|テトラヒドロビオプテリン [ Thyroxine (T4) Index, Free [ Tryptophan|トリプトファン [ Valine|バリン [ Zinc|亜鉛 [ α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [ α1-Antichymotrypsin|α1-アンチキモトリプシン [ α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [ α2-Macroglobulin|α2-マクログロブリン [ γ-Aminobutyric Acid|γ-アミノ酪酸 [ |
| 関連する検査の読み方 |
【甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験】 成長ホルモンの奇異反応が見られる。TRHは下垂体前葉のPRL産生細胞に作用し、PRLの分泌を促進する。このため、TRHに対するPRLの反応低下は、視床下部障害ではなく、下垂体自体に原因がある下垂体機能低下症であることが分かる。TRHに対するTSHの反応低下は甲状腺機能亢進状態や下垂体機能低下症で見られる。 【ACTH】 高値になる。 【セロトニン】 低値になることがある。5-HTは約90%が消化管に、残りが脳と血小板に分布し血管や気管支の平滑筋収縮、消化管運動・分泌調節、知覚・睡眠などへの関与、血小板凝集促進などの作用がある。血中5-HTの大部分は5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)として尿中に排泄されるので両者の同時測定が望ましい。 【γ-アミノ酪酸】 120pmol/mL以下の低値になることがある。GABAは脳、膵、肝などで産生されるアミノ酸神経伝達物質で、作動性ニューロンは大脳、小脳、海馬、基底核などに分布している。血中のGABAは脳血液関門を通過出来ないので、髄液中の濃度は中枢神経系のγ-アミノ酪酸作動性ニューロンの活動を反映している。 【MHPG】 精神的ストレスのバイオマーカーとしての有用性が報告されている。うつ病では低値となる。中枢神経系ではアドレナリン、ノルアドレナリンはMHPGに代謝されていく。血漿中のMHPGの約60%は中枢神経に由来するので、MHPGの濃度は中枢ノルアドレナリン作動神経系の活動状態を反映しているとされている。このため、ノルアドレナリン作動神経活動の異常を伴う精神神経疾患の診断と治療効果の判定に用いられる。 【除外診断検査】 CBC、TSH、電解質、ビタミンB12、葉酸などを測定する。 |
| 検体検査以外の検査計画 | 睡眠時EEG検査、PET検査 |