疾患解説
フリガナ | キュウセイヘントウエン |
別名 | 扁桃咽頭炎 |
臓器区分 | 耳鼻咽喉疾患 |
英疾患名 | Acute Tonsillitis |
ICD10 | J03.9 |
疾患の概念 | 咽頭または口蓋扁桃、もしくはその双方の急性非特異的な炎症で、ウイルスではAdenovirus、Enterovirus、単純ヘルペスウイルスなどが原因となることが多く、症例の70%を占める。残りの約30%の患者は、細菌性であり、A群溶血連鎖球菌の頻度が高いが、ときに黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、肺炎マイコプラズマおよび肺炎クラミジアも原因菌になる。稀な原因菌には百日咳、Fusobacterium、ジフテリア、梅毒、淋菌などがある。 |
診断の手掛 | 発熱、咽頭痛、嚥下痛を訴える患者の口蓋扁桃に発赤、腫脹、白苔付着を認めたら本症の診断はほぼ確定する。特に、嚥下時疼痛は特徴的で、しばしば耳痛を訴える。高熱、全身倦怠感、頭痛および消化管障害もよく見られる。この疾患は治療により、通常7日以内に治癒するが、未治療の場合は、扁桃周囲膿瘍または蜂窩織炎をおこし、ときにリウマチ熱または糸球体腎炎に至ることがあるので注意する。 |
主訴 |
咽頭痛|Pharyngodynia 嚥下障害|Dysphagia 嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain 扁桃偽膜形成|Tonsillar pseudomembrane 扁桃腫脹|Swelling of tonsilla 扁桃白苔付着|Adhesion of supratonsillar fur 扁桃発赤|Flare of tonsilla リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
咽頭炎 喉頭蓋炎 猩紅熱 食道炎|Esophagitis 心筋炎|Myocarditis 伝染性単核球症|Infectious Mononucleosis |
スクリーニング検査 |
ASO|抗ストレプトリジンO価/抗ストレプトリジン抗体 [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] |
異常値を示す検査 |
Anti-Hyaluronidase Antibody|抗ヒアルロニダーゼ抗体 [/S] Antistreptokinase|抗ストレプトキナーゼ抗体 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ASK】 2,560倍以上である。抗ストレプトキナーゼは溶血性連鎖球菌A・C群が産生する菌体外成分に一つであるストレプトキナーゼに対する抗体で、溶連菌感染を疑う時、溶連菌感染症の診断、経過観察、治療効果判定に用いる。 【ASO】 成人は250IU/mL以上、小児は333IU/mL以上である。ASOは溶血性連鎖球菌A・C・G群が産生する溶血毒ストレプトリジンOに対する中和抗体で、溶連菌感染のスクリーニング検査として頻用されている。臨床的には溶連菌感染のスクリーニング検査や診断の目的で用いる。ASOは通常、溶連菌感染後2週目ごろより上昇し、4~5週でピークとなる。このため、測定に際しては感染時期を考慮し、ペア血清で行うことが重要で、単一血清での判定は避けるべきである。陽性率は溶連菌感染症44~76%、リウマチ熱70~90%、急性糸球体腎炎50~71%とされている。 【AHD】 PA法で256倍以上、酵素中和試験で512倍以上である。抗ヒアルロニダーゼは溶血性連鎖球菌の産生する酵素(ヒアルロニダーゼ)に対する抗体で、主としてA群溶血性連鎖球菌の感染診断に用いる。 【A群β溶血連鎖球菌迅速試験】 咽頭ぬぐい液を使い5~10分で診断できる。A群溶血性連鎖球菌感染を疑わせる咽頭炎や扁桃炎の患者の咽頭拭い液を検体として菌体抗原を迅速に検出する検査である。臨床的には迅速に原因菌を確定することで、早期の感染コントロールが可能となる。ただし、検査材料中の菌数が少ない場合は、陰性となる可能性もあるので注意が必要である。また、最近増加が報告されている劇症型溶連菌感染症では、迅速検査の有用性が評価されているので、中高齢者の咽頭炎を見たら積極的に検査を進める。 【扁桃ぬぐい液細菌培養】 A群β溶血連鎖球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌、マイコプラズマ、クラミジアなどが分離される。 【CBC】 白血球が細菌性では増加するが、ウイルス性は増加しない。 【腎機能検査】 急性糸球体腎炎の発症に注意する。 |
検体検査以外の検査計画 |