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疾患解説

フリガナ シンキンエン
別名
臓器区分 循環器疾患
英疾患名 Myocarditis
ICD10 I51.4
疾患の概念 ウイルス、リケッチア、細菌、真菌、寄生虫の感染期間中及び感染後と放射線、薬・毒物などによって発症する心筋自体の炎症性疾患で、原因の多くはウイルス(コクサッキーB、エコーウイルス、アデノウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型、パルボウイルスB-19型など)による。ウイルス感染による心筋炎は、必ずしも心筋のみではなく、心内膜や心膜にも障害をきたすことが多い。特殊な心筋炎としてHIV心筋炎、ジフテリア心筋炎、Chagas病による心筋炎がある。
診断の手掛 発熱、咽頭痛、頭痛、咳、痰などの感冒様症状や悪心、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状を持つ患者が胸痛、不整脈、心不全症状を訴えたら本症を疑う。また、皮疹、関節痛、関節炎などを発症することもある。ウイルス性の場合は、上気道の発熱性疾患、インフルエンザ様症状、鼻咽喉炎や扁桃炎が先行していることが多い。感染後、数時間から数日で心不全症状(70%)、心膜刺激症状としての胸痛(約44%)、伝導障害によるブロックや不整脈(約25%)が出現する。身体所見は、頻脈、徐脈、期外収縮があり、心不全症状としてⅢ音聴取、肺野のラ音、浮腫や頸静脈怒張などの右心不全徴候は重要な所見なので見逃さない。重症になると血圧が低下し、ショックとなり、心停止に至る。心筋炎は、特異的所見に乏しく診断は必ずしも容易ではないので、臨床家は本症の存在を常に意識することが診断の決め手となる。
主訴 咽頭痛|Pharyngodynia
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
関節痛|Arthralgia
胸痛|Chest pain
筋肉痛|Myalgia
下痢|Diarrhea
ショック|Shock
心不全|Heart failure
徐脈|Bradycardia
頭痛|Headache/Cephalalgia
咳|Cough
痰|Sputum
低血圧|Hypotension/Hypotonia
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
皮疹|Eruption/Exanthema
頻脈|Tachycardia
腹痛|Abdominal pain
不整脈|Arrhythmia
鑑別疾患 急性心筋梗塞|Acute Myocardial Infarction(AMI)
拡張型心筋症
心サルコイドーシス
甲状腺機能低下症|Hypothyroidism
膠原病
急性心膜炎|Acute Pericarditis
スクリーニング検査 γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S]
異常値を示す検査 Creatine Kinase MB-Isoenzyme|CK-MB [/S]
Human Heart Fatty Acid Binding Protein|ヒト心臓型脂肪酸結合蛋白 [/S]
Myosin Light Chain I|ミオシン軽鎖I/心室筋ミオシン軽鎖I [/S]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/S]
Troponin I|心筋トロポニンI/トロポニンI [/S]
Troponin T|心筋トロポニンT/トロポニンT [/S]
関連する検査の読み方 【コクサッキーウイルス抗体】
乳幼児ではB群陽性に注意する。コクサッキーウイルスはA群とB群の二つに分類され、A群は手足口病、ヘルパンギーナ、急性リンパ結節性咽頭炎、上気道炎を、B群は夏季に流行性無菌性髄膜炎、夏風邪、乳幼児に致死的な心筋炎を発症する。この抗体はコクサッキーウイルス感染が疑われる場合に測定する。
【ミオシン軽鎖I】
増加することがある。MLC Iは筋原線維構成蛋白で心筋損傷後4~12時間で血中に逸脱し7~14日間異常値が持続する。このため、心筋梗塞発症直後の診断には有用性は無いが、時間が経過した心筋梗塞の診断が可能である。臨床的には急性心筋梗塞の経過観察、治療効果判定の用いる。また、MLC Iが検出される狭心症は心筋障害を合併し予後不良であるため、狭心症の予後推定にも用いる。
【ヒト心臓型脂肪酸結合蛋白】
12μg/L以上に増加するが,値は心筋障害の程度による。H-FABPは心筋細胞内の遊離脂肪酸の輸送に関与している低分子蛋白で、心筋が障害を受けると0.5~3時間で血中に現れ5~10時間でピークに達する。また、疾患特異性が高く、血中濃度と心筋の梗塞量が相関することから臨床的には心筋障害の迅速診断、梗塞量の評価、不安定狭心症の予後推定に用いる。異常値を見た場合はCK-MM、CK-MB、LD1、ミオグロビン、ミオシン軽鎖Iを測定する。
【PCR】
鼻咽腔から綿棒で分泌物を採取する。
【心内膜心筋生検】
活動期の炎症段階が把握できるが、異常所見が斑状に分布しているため、検査の感度は高くない。
検体検査以外の検査計画 心電図検査、胸部X線検査、超音波検査、ガリウム-67シンチグラフィー

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