疾患解説
フリガナ | ギマクセイダイチョウエン |
別名 |
クロストリジウム・ディフィシル誘発性下痢 クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症 抗生物質起因性大腸炎 |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Pseudomembranous Colitis |
ICD10 | A04.7 |
疾患の概念 | 抗生剤投与後に腸管内細菌叢が変化し、結果としてClostridium difficileが増殖し、産生する菌毒素で大腸、主として直腸とS状結腸に偽膜が形成される疾患で、95%以上の便で毒素が証明される。C. difficileは抗菌薬関連大腸炎の最も頻度の高い原因菌で、多くは院内感染であるが、市中感染症例が増加傾向にある。C. difficileは新生児の15~70%、健康成人の3~8%および入院成人の20%に無症候性に保菌されており、土壌、水、ペットにも広く認められる。最近、強毒株BI/NAP1/027型(North American pulsed-field type 1 )が院内感染で注目されている。この菌株は、毒素の産生量がかなり多く、症状はより重度であり、再発率も高くまた感染力が強く、抗菌薬治療に対する反応性は低い。 |
診断の手掛 | 抗生剤投与中あるいは後に下痢を発症した患者を診たら本症を疑う。症状は典型例では、抗菌薬開始5~10日後に始まるが、初日からの場合もあれば、最長で2カ月経過してから発症した例もある。下痢は軽度で半固形のこともあれば、頻回で水様のこともある。痙攣や疼痛はよく見られるが、悪心、嘔吐は稀で、腹部に軽度の圧痛を認める。大腸炎または中毒性巨大結腸症を発症した患者は、疼痛がより強く、頻脈、腹部の膨隆と圧痛を伴い、より重症に見える。腸穿孔を起こした患者は、腹膜刺激徴候が見られる。抗菌薬使用開始後2カ月以内、または入院後72時間以内に下痢を発症した患者は、全例で本疾患を疑うべきである。 |
主訴 |
筋性防御|Muscular defense/Muscle guarding 下血|Melena 下痢|Diarrhea 口渇|Thirst ショック|Shock 水様便|Watery stool 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 脱力感|Weekness 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 皮膚乾燥|Xeroderma 頻脈|Tachycardia 腹痛|Abdominal pain ブルンベルグ徴候|Blumberg sign |
鑑別疾患 |
抗菌薬起因性出血性大腸炎 炎症性腸疾患 NSAIDs起因性腸炎 虚血性腸炎 憩室炎|Diverticulitis 過敏性腸症候群|Irritable Bowel Syndrome(IBS) 潰瘍性大腸炎|Ulcerative Colitis クローン病|Crohn's Disease 腸結核 |
スクリーニング検査 |
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] |
異常値を示す検査 | Clostridium difficile Toxin|クロストリジウム・ディフィシルトキシン [Positive/F] |
関連する検査の読み方 |
【糞便検査】 CDトキシン(CD tox A and B)が検出される。毒素Aは腸毒素、Bは細胞毒素である。便は水様で量は多いが血液や粘液は含まない。白血球はよく認められる。 【EIA】 トキシンA及びBに対する迅速検査で、単独検体では感度70~85%であるが、2つの検体では90%となる。 【CBC】 白血球数が50,000/μL以上で、著明な核左方移動を認めることがある。 |
検体検査以外の検査計画 | 大腸内視鏡検査、腹部X線検査 |