疾患解説
フリガナ | カビンセイチョウショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Irritable Bowel Syndrome(IBS) |
ICD10 | K58.9 |
疾患の概念 | 原因不明の再発性の腹痛、便秘、下痢、腹部膨満などの症状を訴えるが、排便による軽快、排便頻度の変化、便の硬さの変化のうち、少なくとも2つが認められる器質性疾患のない症候群で、先進国では、人口の10~15%に見られる。通常は10歳代後半から20歳代前半に発症する。IBSの原因は不明で、臨床検査、画像検査、生検では器質的原因は認められない。感情的要素、食事、薬物またはホルモンが症状を誘発または悪化させることがある。 |
診断の手掛 |
国際診断基準RomaⅢ基準では「腹痛あるいは腹部不快感が、最近3ヶ月の中の1ヶ月につき少なくとも3日以上は生じ、その腹痛あるいは腹部不快感が 1.排便により軽快する、2.排便頻度の変化で始まる、3.便形状の変化で始まる、の3つの便通異常の2つ以上の症状を伴うもの」と定義されている。 【診断基準:ローマⅢ】 過去3ヵ月間、月に3日以上に亘って腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、次の項目の2っ以上がある。 1.排便によって症状が軽減する。 2.発症時に排便頻度の変化がある。 3.発症時に便形状(外観)の変化がある。 *腹部不快感は、痛みとは表現されない不快な感覚を意味する。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 肩こり|Stiff neck and shoulder 顔面紅潮|Facial suffusion 下痢|Diarrhea 四肢冷感|Cold sensation of extremity 心悸亢進|Cardiopalmus 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 発汗|Sweating/Perspiration/Hidropoiesis 腹痛|Abdominal pain 腹部不快感|Abdominal discomfort 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness 腹鳴|Borborygmus 不眠|Insomnia 便秘|Constipation 無気力|Helplessness |
鑑別疾患 |
乳糖不耐症 新生児偽性腸閉塞 吸収不良症候群|Malabsorption 炎症性腸疾患 憩室症|Diverticulosis 寄生虫症 好酸球性胃腸炎 顕微鏡的大腸炎 下剤の乱用 甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism カルチノイド症候群|Carcinoid Syndrome VIP産生腫瘍|VIPoma ゾリンジャー-エリソン症候群|Zollinger-Ellison Syndrome |
スクリーニング検査 | |
異常値を示す検査 |
5-Hydroxytryptamine, Free [/P] Anti-Neutrophil Cytoplasm Antibodies|抗好中球細胞質プロテナーゼ-3抗体/抗好中球細胞質抗体/好中球細胞質抗体/C-ANCA/PR-3ANCA [/S] Cortisol|コルチゾール [/P] Dopamine|ドーパミン [/P] Epinephrine|カテコールアミン総 [/P] Norepinephrine|カテコールアミン総 [/P] Platelet Aggregation|血小板凝集能 [/B] Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/Platelets, /P] |
関連する検査の読み方 |
【検査】 検査としては、血算、肝機能検査などのほか、赤沈や下痢型の患者には寄生虫の虫卵または虫体の検査、便秘患者では甲状腺刺激ホルモンとCaを測定する。 【抗グリアジン抗体】 下痢傾向が強い患者はセリアック病の合併の有無を知るため、抗グリアジン抗体検査を行う。下痢傾向の過敏性腸症候群患者のセリアック病の頻度は3.6%と推定される。小麦、大麦、ライ麦などに含まれるグリアジンに対する感受性を持つ者では、グルテン由来ペプチドエピトープが存在すると、グルテン感受性細胞T細胞が活性化され、抗グリアジン抗体が産生されてセリアック病を発症する。臨床的には吸収不良を示唆する所見を持つ患者を診た場合は本症を疑い検査する。診断は、抗グリアジン抗体と抗筋内膜抗体を併用すると的中率はほぼ100%になる。 【鑑別診断】 セリアック病に関する血清学的検査と寄生虫検査を行う。 |
検体検査以外の検査計画 | 大腸造影検査、大腸内視鏡検査 |