疾患解説
フリガナ | ケッショウバンムリョクショウ |
別名 |
Glanzmann病 Glanzmann血小板無力症 |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Thrombasthenia |
ICD10 | D69.1 |
疾患の概念 | 血小板膜糖蛋白GPⅡb/Ⅲa複合体の量的・質的異状によってフィブリノゲンが血小板に結合できないために起る血小板凝集能の障害で、常染色体劣性遺伝形式をとる先天性疾患である。血小板は、血小板表面の GPⅡb/Ⅲa にフィブリノゲンが結合し、血小板相互が架橋すると凝集する。この疾患は、GPⅡb 遺伝子または GPⅢa 遺伝子の変異によりGPⅡb/Ⅲa の欠損や機能異常が起こり、血小板凝集能が低下して、止血障害を起こす。 |
診断の手掛 | 生後間もなくから重度の鼻出血、歯肉出血、下血、血尿が見られる患者を診たら本症を疑う。関節内出血や深部出血は認められない。 |
主訴 |
血尿|Hematuria 下血|Melena 月経過多|Menorragia 歯肉出血|Gingival bleeding/Ulorrhagia 紫斑|Purpura 出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis 出血斑|Ecchymosis 消化管出血|Gastrointestinal bleeding 貧血症状|Anemic symptom 鼻出血|Nosebleed/Nasal hemorrhage/Epistaxis |
鑑別疾患 |
フォン ヴィルブランド病|von Willebrand's Disease(VWD) 自己免疫性疾患 リンパ増殖性疾患 薬剤性血小板凝集能低下 Bernard-Soulier症候群 薬剤(抗血小板薬、NSAIDs) |
スクリーニング検査 | Platelets|血小板 [/B] |
異常値を示す検査 |
Bleeding Time|出血時間 [/Patient] Clot Retraction|血餅退縮能 [/B] Factor IX|第IX因子活性/クリスマス因子 [/P] Platelet Aggregation Test|血小板凝集能 [/P] Platelet Membrane Glycoproteins|血小板膜糖蛋白 [/IIb,/IIIa] Platelet Surface Marker CD41|血小板表面マーカーCD41 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【血液像】 凝集しないで散在する血小板を認める。数と形態は正常である。 【血小板凝集能】 エピネフリン、コラーゲン、ADPでは凝集しないが、リストセチンでは一過性に凝集する。血小板は活性化すると細胞内に活性化信号が発生し、膜糖蛋白GP IIb/IIIaに結合したフィブリノゲンを介して血小板同士が結合する。この経路に異常が生じると血小板凝集能に異常が認められる。検査は、多血小板血漿(PRP)にADP、エピネフリン、コラーゲン、リストセチンなどの凝集刺激剤を添加して血小板凝集の状態を見ることにより、異常の発生個所を確認するために行われる。 【血小板粘着能】 基準範囲内である。 【血小板表面マーカーCD41】 低値になる。血小板血栓形成の過程での粘着、凝集反応に関与する血小板幕蛋白としてCD41(GPIIb/IIIa),CD42(GPIba)が知られている。CD41は血小板が刺激されて活性化すると、リガンド結合部分が露出しフィブリノゲンレセプターとしての機能を発現する。この検査は血小板膜蛋白発現異常により出血傾向を呈する疾患の診断に有用である。 【血小板膜蛋白】 グリコプロテインIIb/IIIaの欠損を認める。血小板膜蛋白は出血傾向などから血小板機能異常が疑われ、血小板機能検査(血小板凝集能、血小板粘着能、血小板放出能)で先天性血小板機能異常が疑われた場合に測定する。この検査で糖蛋白の欠損が認められたら先天性疾患の存在が強く示唆されが、最終的な診断は遺伝子解析が必要である。 【血餅退縮能】 欠如することがある。 【出血時間】 著しく延長する。 |
検体検査以外の検査計画 |