疾患解説
フリガナ | ノウノウヨウ |
別名 | |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Brain Abscess |
ICD10 | G06.0 |
疾患の概念 | 脳実質内の局所的化膿性病変である。頭蓋内感染、頭部外傷、血行性播種により、頭蓋内に膿が蓄積した状態である。脳の炎症領域が壊死状態になり、周囲がグリア細胞や線維芽細胞で覆われると膿瘍が形成される。脳膿瘍の原因としては骨髄炎、乳様突起炎、副鼻腔炎、硬膜下膿瘍などの頭蓋内感染症からの直接波及、、脳外科手術を含む頭部損傷、細菌性心内膜炎、先天性心疾患、静注薬物乱用などによる血行性播種がある。感染菌は、通常は嫌気性菌であるが、ときに混合性のこともあり、嫌気性レンサ球菌またはBacteroides属を含む場合が多い。ブドウ球菌は頭蓋外傷、脳神経外科手術、心内膜炎でよく見られ、腸内細菌は慢性耳感染症でよく見られる。 |
診断の手掛 | 発熱、頭痛に加え片麻痺などの中枢神経症状を訴える患者を診たら本症を疑う。患者は膿瘍による局所的な症状と頭蓋内圧亢進症状と髄膜刺激症状を呈する。頭痛は、最も頻度の高い症状で、75%以上の患者に見られる。発熱は50%程度の患者に認められる。 |
主訴 |
意識障害|Memory impaiment 嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 片麻痺|Hemiplegia 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure ケルニッヒ徴候|Kernig sign 項部硬直|Nuchal stiffness/Stiffness of neck/Stiff neck 嗜眠|Lethargy 髄膜刺激症状|Meningeal irritation sign 頭蓋内圧亢進症状|Intracranial hypertension 頭痛|Headache/Cephalalgia 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever |
鑑別疾患 |
転移性脳腫瘍 脳腫瘍|Cerebral Tumor 悪性神経膠腫 髄膜炎|Meningitis 結核腫 静脈洞血栓症 脳炎|Encephalitis |
スクリーニング検査 |
Chloride|クロール [/CSF] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/CSF] Leukocytes|白血球数 [/B, /CSF] Lymphocytes|リンパ球 [/CSF] Neutrophils|好中球 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/CSF] |
異常値を示す検査 | Cells [/CSF] |
関連する検査の読み方 |
【髄液一般検査】 細胞数は著増し好中球優位、蛋白は中等度~高度増加、糖は著減、肉眼的所見では白濁が見られる。 【起炎菌】 通常は嫌気性菌であるが、しばしば嫌気性連鎖球菌やバクテロイデス属が含まれる。外傷、脳外科手術、心膜炎の術後にはブドウ球菌が、また、耳が感染源の場合は腸内細菌が検出される。 |
検体検査以外の検査計画 | 頭部造影増強CT検査、MRI検査 |