疾患解説
フリガナ | バーターショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Bartter's Syndrome |
ICD10 | E26.8 |
疾患の概念 | 腎からのNa、K、Clの喪失、低K血症、高アルドステロン血症、高レニン血症、正常血圧などを特徴とする病態で、小児期に発症し、電解質異常と発育異常を来す疾患である。ヘンレ係蹄の上行脚と遠位尿細管におけるNaCl輸送の異常が原因である。病因はNaClの再吸収障害で、体液量が減少するためレニンおよびアルドステロンの分泌が増加し、KおよびHの喪失を来す事による。また、プロスタグランジンの分泌が増加し、腎髄質での濃度勾配の障害が起こり、尿の濃縮が障害される。本症は、レニンとアンジオテンシンが高値にもかかわらず血圧が正常ないし低値となるが、これはNaの喪失が慢性的な血漿量減少をもたらすためである。この疾患は、通常は常染色体劣性の形式で遺伝する。 |
診断の手掛 | 低K血症、代謝性アルカローシス、正常血圧ないし低血圧が本症の特徴で、出生前、乳児期、または小児期早期に発症する傾向がある。出生前は、子宮内胎児発育不全と羊水過多が見られ、新生児期には発熱、脱水、発育遅延が見られる。また、患児は目や耳の目立つ三角形の特徴的な顔貌となる。成人では利尿薬の乱用を考慮し、疑わしい場合は必ず利尿薬の尿中濃度を測定する。バーター症候群は、遺伝子異常に応じて、難聴、低Ca血症、腎石灰化症などの特異的な臨床像を呈する事があるので、見逃さない。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 筋力低下|Weakness 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure 集中力低下|Loss of concentration 精神発達遅滞|Mental retardation 多飲|Polydipsia 多尿|Polyuria 脱力発作|Atonic seizure 動悸|Palpitations 発育障害|Developmental disability/Disorder of growth and development |
鑑別疾患 |
摂食障害 偽性バーター症候群 低K血症|Hypokalemia 原発性アルドステロン症|Primary Aldosteronism 尿細管性アシドーシス|Renal Tubular Acidosis(RTA) 甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism 薬剤(フロセミド) Gitelman症候群 Liddle症候群 |
スクリーニング検査 |
Calcium|カルシウム [/U] Potassium|カリウム [/S] |
異常値を示す検査 |
Aldosterone|アルドステロン [/P] Guanosine Monophosphate [/U] Nitrate plus Nitrite [/U] Plasma Renin Activity|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【K】 低K血症が必発であるが、Bartter症候群と診断する前に、利尿薬乱用をチェックする。Kは15mEq/日以上排泄される。 【K分泌の評価】 尿細管内外のK+勾配(TTKG)を算定する。TTKG=尿K/血漿K÷尿浸透圧/血漿浸透圧 TTKGが4を超えれば遠位でのK分泌増加による、腎性K喪失である。 【Cl】 Clは10mEq/日以上排泄される。慢性嘔吐症はCl低値が特徴的である。 【フロセミド立位負荷試験】 確定診断に有用である。1.30分安静臥位で採血する 2.フロセミド40mgを静注する 3.2時間立位(歩行可)を維持して座位で採血する 4.負荷後PRA<2.0ng/mL/時または負荷後ARC<8.0pg/mL |
検体検査以外の検査計画 | 腹部X線検査 |