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疾患解説

フリガナ ゲンパツセイアルドステロンショウ
別名 原発性高アルドステロン症
コーン症候群
臓器区分 内分泌疾患
英疾患名 Primary Aldosteronism
ICD10 E26.0
疾患の概念 副腎皮質の腫瘍あるいは過形成によってアルドステロンが過剰に分泌される疾患で、高血圧症の5~10%は本症によると云われている。臨床的には低K血症を伴った低レニン性高血圧症である。多くの症例は一側性の球状層細胞からなる副腎腺腫が原因で、それ以外は両側副腎過形成による。この疾患の臨床像は、11β水酸化酵素欠損による先天性副腎過形成症および優性遺伝しデキサメタゾンで抑制可能なアルドステロン症でも生じる。
診断の手掛 高血圧、低K血症及び発作性脱力を呈する患者は本症を疑う。低K性アルカローシスによる発作性脱力、感覚異常、一過性麻痺、テタニーや低K血症性腎症に伴う多尿、多飲も診断の手掛かりになる。また、Na摂取量が正常でサイアザイド系利尿剤を服用しておらず、浮腫が見られない持続性の低K血症の患者も本症を疑う。臨床症状による鑑別は困難であるが、説明につかない低K血症と代謝性アルカローシスの患者は本症を強く疑う。K喪失により高Na血症、循環血液量増加、低カリウム性アルカローシスが生じる可能性があり、発作性の筋力低下、錯感覚、一過性麻痺、テタニーなどを引き起こす。また、拡張期高血圧、多尿、多飲を伴う低K血症性腎症がよく見られる。多くの場合、唯一の症状は軽度から中等度の高血圧である。本疾患を疑い積極的に検査を進める必要がある患者は1.低K血症(利尿薬誘発性も含む) 2.収縮期血圧>160mmHgまたは拡張期血圧>100mmHg 3.コントロール不良または治療抵抗性高血圧 4.高血圧を伴う副腎偶発腫 5.40歳以下で脳血管障害などの臓器障害合併例である。
主訴 感覚障害|Sensory disturbance
筋力低下|Weakness
クヴォステク徴候|Chvostek sign
高血圧|Hypertension
四肢麻痺|Quadriplegia/Tetraplegia
頭痛|Headache/Cephalalgia
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
多飲|Polydipsia
多尿|Polyuria
脱力感|Weekness
テタニー|Tetany
トルソー徴候|Trousseau sign
動悸|Palpitations
不眠|Insomnia
めまい|Dizziness
夜間多尿|Nocturia/Nycturia
鑑別疾患 11β-水酸化酵素欠損症|11β-Hydroxylase Deficiency
17α-水酸化酵素欠損症
肝硬変|Cirrhosis of Liver
偽性アルドステロン症
高Na血症|Hypernatremia
高血圧症|Hypertension
Conn症候群
心不全|Heart Failure
代謝性アルカローシス|Metabolic Alkalosis
多飲症
低K血症|Hypokalemia
Liddle症候群
糖質コルチコイド奏功性アルドステロン症
心不全|Heart Failure
ネフローゼ症候群|Nephrotic Syndrome
バーター症候群|Bartter's Syndrome
続発性アルドステロン症
スクリーニング検査 Magnesium|マグネシウム [/S, /U]
Potassium|カリウム [/S]
異常値を示す検査 18-Oxycortisol [/P]
Aldosterone|アルドステロン [/P, /U]
Active Plasma Renin|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P]
Atrial Natriuretic Peptide|心房性Na利尿ペプチド [/P]
Plasma Renin Activity|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P]
Vanillylmandelic Acid|バニリルマンデル酸 [/P]
関連する検査の読み方 【スクリーニング検査】
尿K高値、血漿レニン活性低値(3.0ng/mL/時以下)、血漿アルドステロン:PRA比高値(20以上)、尿アルドステロンが増加する。
【アルドステロン】
120pg/mL以上で、アルドステロン:レニン比>20は本症を強く示唆する。PACは副腎皮質球状層から分泌される鉱質コルチコイドで、レニン-アンジオテンシン系、ACTH、K+が分泌の調節を行っている。PACは遠位尿細管に作用し、Na+とOH-を再吸収し代わりにK+とH+-を排出させる働きがある。PACはレニンにより産生されるアンジオテンシンIIの刺激により産生される。測定は血漿レニン活性と同時に行いPAC/PRA比を評価することが望ましい。また、PACは60歳以上の男性や閉経後の女性では有意に低値を示すこと、早朝に高値で深夜に低値になることに注意する。
【アンジオテンシン-II】
基準範囲下限以下である。
【血漿レニン活性】
0.5ng/mL/時未満なら確定的である。レニンは腎糸球体輸入臍動脈壁に存在する傍糸球体細胞で産生されるタンパク分解酵素である。検査は血漿中のレニン活性を有するARC濃度を特異的なモノクローナル抗体を用いて測定する。血圧や水・電解質の調節に重要な役割を持つレニン・アンジオテンシン系の評価には血漿レニン活性が測定されてきたが、ARCの直接測定により、レニンの分泌状態がより正確に判断できる。異常値を示したらアルドステロン濃度(PAC)を測定しPAC:PRA比を評価する。
【心房性Na利尿ペプチド】
増加することがある。ANPは心房の筋肉で産生・分泌されるホルモンで強力な水・Na利尿作用と血管弛緩作用がある。心房筋の伸展・収縮により産生されるため心房圧の上昇や体液量の増加があると産生量が増え血中量が増加する。
【耐糖能】
約50%の患者で低下する。
【電解質】
血圧降下薬を使っていない高血圧患者で低K血症(3.0mEq/L)があれば本症を強く疑う。この所見は症例の80~90%に認められる。尿Kは高値である。高Na血症、低Cl血症はK喪失の程度と相関する。Mgが増加する。
【尿一般検査】
早朝第一尿で1.010以下に低下する。
【負荷試験】
カプトプリル負荷試験、フロセミド立位負荷試験、生理食塩水負荷試験があるが正診率に差がある。フロセミド立位負荷試験で反応しないか低反応を確認後、カプトプリル負荷試験で血漿レニン活性が基準範囲を超えることを確認する。生理食塩水負荷試験は感度、特異度に優れるとされるが、検査時間が長く、心・腎機能低下例では不適である。
【カプトリル負荷試験】
陽性判定基準:血漿アルドステロン:血漿レニン活性比(60分または90分)≧200または≧350
【フロセミド立位負荷試験】
陽性判定基準:最大血漿レニン活性≦1.0または2.0ng/mL/h
【生理食塩水負荷試験】
血漿アルドステロン濃度(負荷4時間後)血漿アルドステロン濃度≧50~100pg/mL
【動脈血ガス分析】
酸の喪失、塩基の負荷によりpHは7.40以上、HCO3-は26mEq/L以上である。
【診断基準】
1.浮腫を伴わない拡張期高血圧 2.立位負荷、Na制限による細胞外液の減少によっても適切な上昇が見られない低レニン血症(レニン活性の低下)3.細胞外液の増加によっても適切な抑制が見られないアルドステロンの過剰分泌
検体検査以外の検査計画 腹部CT検査、MRI検査、副腎シンチグラフィー

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