疾患解説
フリガナ | ニョウサイカンセイアシドーシス |
別名 | |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Renal Tubular Acidosis(RTA) |
ICD10 | N25.8 |
疾患の概念 | RTAはH+イオンの排泄又はろ過されたHCO3-の再吸収が障害される一連の疾患と定義されている。臨床状態、尿pH、尿アニオンギャップおよび血清K値によって4種に分類される。遠位尿細管アシドーシス(1型)は、遠位尿細管におけるH+イオン分泌の機能障害で、低K血性高Cl血性代謝性アシドーシスが特徴である。近位尿細管アシドーシス(2型)は、ろ過されたHCO3-を十分に再吸収する近位尿細管の能力が選択的に欠損したために生じる低K血性高Cl血性代謝性アシドーシスである。糸球体機能不全による尿細管性アシドーシス(3型)は、GFRの低下が原因の疾患で非常に稀である。低レニン低アルドステロン性尿細管アシドーシス(4型)は、アルドステロン欠損又は遠位尿細管のアルドステロン不応答性に起因するアシドーシスで高K血性高Cl血性アシドーシスが特徴である。 |
診断の手掛 | この疾患は、通常無症候性であるが、時として慢性電解質異常の徴候を示すことがある。また、1型RTAではCa代謝異常により骨異常又は結石形成で見つかることがある。電解質異常は1型又は2型では筋弛緩、筋反射低下、麻痺などの低K血症の徴候と症状を示す。4型は、通常無症候性であるが、高K血症が高度なら不整脈や麻痺を発症する。原因不明の代謝性アシドーシスと正常アニオンギャップを有する患者を診たら本症を疑う。関連疾患:1型(シェーグレン症候群、慢性甲状腺炎、原発性胆汁性肝硬変、ビタミンD中毒、鎮痛薬)2型(Fanconi症候群、Wilson病、多発性骨髄腫、副甲状腺機能亢進症、重金属中毒)、4型(Addison病、両側副腎摘出、糖尿病性腎症、間質性腎炎、閉塞性尿路障害、多発性骨髄腫、薬剤)。 |
主訴 |
筋肉痛|Myalgia 筋反射低下|Degradation of muscle reflection 筋力低下|Weakness 不整脈|Arrhythmia 麻痺|Palsy/Paralysis/Numbness |
鑑別疾患 |
腎不全 糖尿病性アシドーシス 尿路結石症|Urinary Calculi 乳酸アシドーシス |
スクリーニング検査 |
Calcium|カルシウム [/U] Chloride|クロール [/S] Potassium|カリウム [/S] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Calcium|カルシウム [/S] Chloride|クロール [/S] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S] Potassium|カリウム [/S] Sodium|ナトリウム [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] Chloride|クロール [/S] Potassium|カリウム [/S] |
異常値を示す検査 |
Ammonium Ions|アンモニウムイオン [/U] Anion Gap|アニオンギャップ [/U] Citrate|クエン酸/クエン酸塩 [/U] Net Acid Excretion|総酸排泄量 [/U] Osmolal Gap|浸透圧ギャップ [/U] Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/U] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P] pH|尿pH [/B] Uric Acid Clearance|尿酸クリアランス [/U] Volume [/U] Anion Gap|アニオンギャップ [/U] pH|尿pH [/U] |
関連する検査の読み方 |
【K】 1型、2型は高値、4型は低値を示す。 【炭酸水素Na負荷試験】 1型と2型の鑑別に有用である。血中HCO3がほぼ正常に達した時の尿中HCO3排泄率が15%以上であれば2型を考える。 【フロセミド負荷試験】 フロセミドを静注し尿pHを測定する。遠位尿細管性でHイオン分泌能に異常があれば尿pHは5.5以下にならない。 【酸負荷試験/塩化アンモニウム負荷試験】 1型と2型の鑑別に用いる。塩化アンモニウムを経口投与すると健常者や2型は尿pHが5.5以下に低下するが、1型では5.5以下にならない。 |
検体検査以外の検査計画 | 心電図検査、尿路系X線検査 |