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疾患解説

フリガナ フクジンセイキショウコウグン
別名 先天性副腎皮質過形成
副腎性男性化症
臓器区分 内分泌疾患
英疾患名 Adrenogenital Syndrome
ICD10 E25.9
疾患の概念 アンドロゲン分泌性の副腎腫瘍、または副腎過形成によって、副腎アンドロゲンの過剰分泌が起こり、女児に男性化、男児に性早熟が見られる疾患であり、80%は21-ヒドロキシラーゼ欠損症である。本症はアンドロゲン分泌性の副腎腫瘍、または副腎過形成によって発症する。副腎悪性腫瘍が過剰なアンドロゲン、コルチゾール、またはミネラルコルチコイドを分泌し、ACTH分泌抑制、副腎の萎縮と高血圧を伴うクッシング症候群を引き起こす場合がある。副腎過形成は通常先天性である。
診断の手掛 女児の男性化あるいは男児の性早熟が認められたら本症を疑う。軽症例では、唯一つの徴候が多毛であることが知られている。症状は、患者の性別と発症年齢によって異なり、男性よりも女性で顕著である。先天性副腎過形成症を有する女子乳児では、陰唇陰嚢融合と陰核肥大が見られ、男性の外性器と類似するため、女性仮性半陰陽となる。思春期前の男児では、性的成熟が早まる可能性がある。成人女性では、無月経、子宮萎縮、陰核肥大、乳房縮小、ざ瘡、多毛、発声低音化、頭部脱毛、性欲亢進、筋肉増大が見られる。成人男性は、過剰な副腎アンドロゲンが性腺機能を抑制し、精巣の異所性副腎組織が増大して腫瘍様になる場合がある。
主訴 高血圧|Hypertension
女児男性化|Virilescence
多毛|Hypertrichosis/Hirsutism
男子性早熟|Male precocious maturity
男性化|Masculinization/Virillism/Virillzation
男性仮性半陰陽|Male pseudohermaphroditism
不妊|Stenility/Infertility
無月経|Amenorrhea
鑑別疾患 11β-水酸化酵素欠損症|11β-Hydroxylase Deficiency
17α-水酸化酵素欠損症
21-水酸化酵素欠損症|21-Hydroxylase Deficiency
3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損症
先天性副腎皮質過形成
男性化細胞腫
真性思春期早発症
スクリーニング検査 Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
Potassium|カリウム [/S]
Sodium|ナトリウム [/S]
異常値を示す検査 17-Ketogenic Steroids|17-ケトジェニックステロイド [/U]
17-Ketosteroids|17-ケトステロイド [/U]
Dehydroepiandrosterone|デヒドロエピアンドロステロン [/U]
Pregnanediol|プレグナンジオール [/U]
Pregnanetriol|プレグナントリオール [/U]
Testosterone|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [/S]
関連する検査の読み方 【テストステロン】
高値になる。テストステロンは精巣のLeydig細胞で産生される男性ホルモン作用の最も強力なアンドロゲンで、血中では大部分が性ホルモン結合グロブリン(SHBG)と結合しているが生物活性を持つ遊離型は1~3%に過ぎない。女性では副腎と卵巣で産生される。生理作用は男性では性器発育と機能の維持、蛋白同化作用、脂肪異化作用、体毛発育であるが、女性が過剰分泌を起こすと無月経、多毛などの男性化徴候をきたす。臨床的には男性ホルモン産生過剰、視床下部下垂体機能低下が疑われる症状を見た場合に測定する。
【デヒドロエピアンドロステロン】
尿中の値が高値になる。DHEAはアンドロゲンの一種で、90%が副腎由来のため副腎アンドロゲンと呼ばれる。生理作用は免疫活性、抗動脈硬化、抗糖尿病、抗癌作用、中枢神経への関与など多彩なため、老化の指標として注目されている。血中濃度は20歳前後にピークに達し、加齢と共に直線的に減少し60歳を超えると20歳代の5~10%にまで低下する。臨床的にはACTHにより分泌量が敏感に変動するため、Cushing症候群の病型鑑別に用いる。異常値を認めたらコルチゾール、アルドステロン、DHEA-Sなどの性ステロイドとその中間代謝産物を測定する。
【17α-ヒドロキシプロゲステロン】
合成ACTHを0.25mgを筋肉内投与した30分後に1000ng/dLを上回った場合は、最も一般的な型の副腎過形成が強く示唆される。17-OHPは性腺と副腎で産生されるコルチゾールやアンドロゲンの前駆物質で、産生に関与する17α-水酸化酵素と3β-HSDのいずれかに異常があれば産生量は低下する。また、21-水酸化酵素が欠損すると血中濃度は増加するので副腎皮質過形成と続発する副腎性器症候群の診断に有用性が高い検査である。臨床的には先天性副腎皮質過形成症の診断と治療効果判定に用いる。
【17α-OHP】
軽度~中等度高値になることがある。17-OHPは性腺と副腎で産生されるコルチゾールやアンドロゲンの前駆物質で、産生に関与する17α-水酸化酵素と3β-HSDのいずれかに異常があれば産生量は低下する。また、21-水酸化酵素が欠損すると血中濃度は増加するので副腎皮質過形成と続発する副腎性器症候群の診断に有用性が高い検査である。臨床的には先天性副腎皮質過形成症の診断と治療効果判定に用いる。
【プレグナンジオール】
高値になることがある。P2は卵巣、胎盤、精巣、副腎で産生されたプロゲステロンの代謝産物の一つで生物学的活性は殆どない。臨床的には24時間蓄尿中のP2を測定することで、プロゲステロンの一日産生量を推定する。現在、プロゲステロンの直接測定が容易になったため、この検査の意義は殆どない。
【プレグナントリオール】
高値になる。P3は卵巣、精巣、副腎で産生される17α-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)の代謝産物で生物学的活性は殆どない。24時間蓄尿中のP3を測定することで、17-OHPの一日産生量を推定出来る。臨床的には先天性副腎皮質過形成が疑われる患者やCushing症候群などで測定する。
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