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疾患解説

フリガナ 11ベータ-スイサンカコウソケッソンショウ
別名 先天性副腎過形成症
先天性副腎皮質過形成症
先天性副腎酵素異常症
臓器区分 内分泌疾患
英疾患名 11β-Hydroxylase Deficiency
ICD10 E53.8
疾患の概念 この疾患は、先天性副腎過形成症の全症例の約6%を占めている。副腎皮質ホルモン前駆体の変換障害により、ミネラルコルチコイド前駆体が蓄積し男性化、高Na血症、低K血症、高血圧を来す。診断は11-デオキシコルチゾール、副腎アンドロゲンの測定による。男性化、高血圧が主徴なら古典型、男性化が主徴なら遅発型である。CYP11B1遺伝子異常は古典型のみに見られる。高血圧はCYP11B1欠損症患者の約2/3で見られ低血圧を引き起こすCYP21A2欠損症と鑑別できる。
診断の手掛 女子新生児で陰核肥大、陰唇結合、尿生殖洞などの性器異常がある場合、また男子新生児で陰茎肥大が見られたら本症を疑う。水酸化酵素の欠損により11-デオキシコルチゾールと11-デオキシコルチコステロンが蓄積するが、デオキシコルチコステロンは塩類貯留ホルモンなので高血圧をきたす。出生前診断は不可能で、新生児の診断は11-デオキシコルチゾールおよび副腎アンドロゲン(DHEA、アンドロステンジオン、テストステロン)の血漿中濃度上昇によって確定される。
主訴 月経不順|Paramenia
高血圧|Hypertension
性器異常|Abnomalities of genitalis
性早熟|Precocious maturity
多毛|Hypertrichosis/Hirsutism
男性化|Masculinization/Virillism/Virillzation
鑑別疾患 21-水酸化酵素欠損症|21-Hydroxylase Deficiency
3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損症
アンドロゲン産生副腎腫瘍
スクリーニング検査 Potassium|カリウム [/S]
Sodium|ナトリウム [/S]
異常値を示す検査 11-Deoxycortisol|11-デオキシコルチゾール [/S]
11-DOC|11-デオキシコルチコステロン/デオキシコルチコステロン [/S]
17-KS|17-ケトステロイド [/U]
17α-OHP|17α-ヒドロキシプロゲステロン [/S]
17-OHCS|17-ヒドロキシコルチコステロイド [/U]
Active Plasma Renin|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P]
Aldosterone|アルドステロン [/U]
Androgen|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [/S]
Corticotropin|副腎皮質刺激ホルモン/コルチコトロピン [/P, /Saliva]
Cortisol|コルチゾール [/P, /Saliva, /U]
Cortisone|コルチゾン [/P, /Saliva, /U]
関連する検査の読み方 【Na】【K】
Naは147mEq/L以上、Kは3.6mEq/L以下になる。
【11-デオキシコルチゾール】
高値になる。11-DOFは分泌調節をACTHに依存している糖質コルチコイドであるが、生理活性はコルチゾールよりはるかに低い。また、コルチゾールと異なり下垂体からのACTH分泌を抑制する作用がない。この11-DOFとコルチゾールの生理作用の差を利用したのがメチラポン試験である。
【11-デオキシコルチコステロン】
高値になる。11-DOCは鉱質ステロイドの中間代謝産物で、ACTH依存性のため、血中量はACTHの分泌量に左右されるので、ACTH分泌亢進状態や11-DOCからコルチコステロンへの転換酵素(11-β水酸化酵素)の量が推測できる。この物質は低K血症の原因となり、またレニンとアルドステロンの産生を抑制する。
【副腎皮質刺激ホルモン/コルチコトロピン】
100pg/mL以上の高値になる。ACTHは下垂体前葉から分泌されるポリペプチドで、副腎皮質からのコルチゾール分泌を調節している。分泌はパルス状のためコルチゾールの分泌もパルス状になる。
【アンドロゲン】
診断は副腎アンドロゲン高値を立証する。また、デキサメタゾン0.5mgを6時間ごとに48時間経口投与して過剰なアンドロゲン産生が抑制された場合は、男性化腫瘍は除外される。
【コルチゾール】
尿、血漿ともに数μg/dL以下の低値となる。
【17-OHCS】
尿中17-OHCSは高値になる。17-OHCSにはコルチゾール、11-デオキシコルチゾール、コルチゾンとこれらの肝での代謝産物を含むため、測定により副腎皮質からの糖質コルチコイドの一日の産生量が推定出来る。臨床的には副腎からの分泌が、視床下部-下垂体の支配によるフィードバック機構により成立しているので、この機構の異常を疑う場合に測定する。異常値を得た場合は血中ACTHとコルチゾールを測定する。
【17α-ヒドロキシプロゲステロン】
コシントロピン0.25mgを筋注30分後に17-ヒドロキシプロゲステロン濃度が30nmol/Lを上回っていれば、副腎過形成が強く示唆される。17-OHPは性腺と副腎で産生されるコルチゾールやアンドロゲンの前駆物質で、産生に関与する17α-水酸化酵素と3β-HSDのいずれかに異常があれば産生量は低下する。また、21-水酸化酵素が欠損すると血中濃度は増加するので副腎皮質過形成と続発する副腎性器症候群の診断に有用性が高い検査である。
【ACTH負荷試験】
ACTH刺激前と60分後の11-デオキシコルチゾール、11-デオキシコルチコステロンを測定する。青少年に薦められる検査である。
【遺伝子異常】
CYP11B1遺伝子異常が古典型で同定される。
【診断】
コルチゾール、コルチゾール前駆体、副腎アンドロゲンを測定する。出生前診断は不可能なので、新生児では11-デオキシコルチゾール、副腎アンドロゲン、レニンの血漿濃度とテトラヒドロ-11-デオキシコルチゾール、テトラヒドロ-11-デオキシコルチゾン、17-ケトステロイドの尿中濃度を測定する。
【治療のモニター】
血漿中のレニン濃度を治療のモニターとして測定する。
【鑑別】
11β-水酸化酵素欠損症は高血圧、低K血症になるが21-水酸化酵素欠損症は低血圧、高K血症が起こる。
検体検査以外の検査計画 頭部CT検査、腹部MRI検査、腹部CT検査、腹部超音波検査

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