疾患解説
フリガナ | タンセキショウ |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Cholecystolithiasis |
ICD10 | K80.8 |
疾患の概念 | 胆嚢や胆管に1個以上の胆石が出来た状態で、含有成分からコレステロール胆石、黒色色素胆石、褐色色素胆石がある。また、胆石の局在により胆嚢胆石症、総胆管胆石症、肝内胆石症に分けられる。胆石保有率は10%前後で、男性より女性に多く、加齢とともに保有率が増す。コレステロール結石は、最も頻度が高い結石で、肥満や糖尿病によりコレステロールの過剰分泌が起こると、胆汁がコレステロール過飽和状態となり過剰なコレステロールが析出して、微小結晶となり、この結晶が凝集して成長しコレステロール胆石になる。黒色色素結石は、ビリルビンCa、炭酸Ca、リン酸Caなどの無機Ca塩で構成される小さな硬い胆石で、発生促進因子は、アルコール性肝疾患、慢性溶血、高齢などである。褐色色素結石は、柔らかく、脂肪分が多く、ビリルビン塩と脂肪酸から構成され、感染、炎症、寄生虫により形成される。胆石は年に約1~2mmのペースで成長し、症状を引き起こすまでには5~20年を要する。大半の胆石は胆嚢で形成されるが、褐色色素結石は胆管で形成される。 |
診断の手掛 | 80%が無症状で、残り20%が胆石疝痛、胆嚢炎、胆管炎などの多彩な症状を示す。胆石疝痛は突然始まり、15分から1時間で激痛となり、1~6時間継続し、30~90分かけて徐々に消失し鈍痛を残す特徴がある。悪心や嘔吐もよく見られるが、胆嚢炎が発症しない限り、発熱や悪寒は見られない。右上腹部または心窩部に軽度の圧痛が見られるが、腹膜炎の所見はない。嘔吐または発熱を伴う仙痛が12時間を超える場合は、急性胆嚢炎または急性膵炎である可能性が高いので注意する。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 嘔吐|Vomiting 悪寒戦慄|Chill with shivening 悪心|Nausea 肩こり|Stiff neck and shoulder 季肋部痛|Hypochondralgia 下痢|Diarrhea 心窩部圧痛|Epigastralgia/Epigastric pain 心窩部痛|Epigastralgia/Epigastric pain/Upper abdominal pein 疝痛|Colic 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness マーフィー徴候|Murphy sign 右季肋部圧痛|Tenderness in the right hypochondrium 右季肋部殴打痛|Right hypochondial tapping pain |
鑑別疾患 |
胆嚢炎 右腎盂結石 胆嚢ポリープ 胆嚢形成不全 陶器様胆嚢 無石胆嚢炎 胆嚢腺筋腫症 胃潰瘍/十二指腸潰瘍|Gastric/Duodenal Ulcer 急性胃炎 クローン病|Crohn's Disease イレウス 急性心膜炎|Acute Pericarditis 虫垂炎 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/S] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Amylase|アミラーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] CEA|癌胎児性抗原 [/Bile, /S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S] |
異常値を示す検査 |
CA 19-9|CA19-9 [/S] CA 72-4|CA72-4 [/S] Insulin|インスリン [/P] Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [/S] Sulfated Bile Acids|硫酸抱合型胆汁酸(尿) [/U] Vitamin E|ビタミンE/トコフェロール/α-トコフェロール [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ALP】 胆道閉塞に際してはビリルビンより敏感に反応する。 【ビリルビン】 高値の場合は胆道閉塞を考える。 【CBC】 白血球は胆道感染の指標になる。 【硫酸抱合型胆汁酸】 尿中の値が軽度に増加することがある。ヒトの胆汁酸はコール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸の5種類に分けられる。肝実質細胞障害や胆汁うっ滞では肝細胞内での胆汁酸濃度が上昇し硫酸抱合反応が促進される。硫酸抱合胆汁酸は水溶性のため抱合を受けない胆汁酸に比べ速やかに腎から排泄される。臨床的には肝実質性細胞障害や胆汁うっ滞で尿中硫酸抱合胆汁酸画増加し、尿中ビリルビンやウロビリノーゲン測定に比べ感度、特異度ともに優れている為、これら疾患のスクリーニングに有用である。 【結石分析】 治療方針決定に有用である。 【尿沈渣】 高度な黄疸例ではビリルビン結晶が認められる。 【検査所見】 高コレステロール血症の原因疾患、慢性的な溶血性貧血、胆嚢炎、総胆管結石症などによる検査所見を認めることがある。 |
検体検査以外の検査計画 | 腹部超音波検査、超音波内視鏡検査、CT検査、MRI検査、MRCP検査、ERCP検査、経皮肝胆道造影検査 |