疾患解説
フリガナ | キュウセイシンマクエン |
別名 | |
臓器区分 | 循環器疾患 |
英疾患名 | Acute Pericarditis |
ICD10 | I30.9 |
疾患の概念 | 種々の原因によって生ずる心膜の急性炎症性疾患で、しばしば体液貯留を伴う。原因は感染症、自己免疫疾患、炎症性疾患、尿毒症、外傷、心筋梗塞、癌、放射線療法または特定の薬剤などであるが、最も一般的な原因はウイルス性と特発性である。また、心筋梗塞発症後24~96時間に患者の10~15%に発症する。 |
診断の手掛 | 基礎疾患を持つ患者が、胸痛や呼吸困難を発症したら本症を疑う。疼痛はしばしば激烈で、典型的には胸骨の後ろや左前胸部に局在し、背部や左僧帽筋の周辺に放散する。心膜と心筋の神経支配は、同じであるため心膜炎による胸痛は、時として心筋炎や虚血による胸痛と似ているので診断の際には注意が必要である。胸痛は起座位で軽減する。心膜炎の最も重要な身体所見は、前胸部で聴取される三相または収縮期および拡張期の摩擦音である。 |
主訴 |
胸痛|Chest pain 筋肉痛|Myalgia 呼吸困難|Dyspnea 心窩部痛|Epigastralgia/Epigastric pain/Upper abdominal pein 前胸部痛|Precordialgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 貧血症状|Anemic symptom 放散痛|Radiating pain やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
悪性腫瘍 外傷 気胸 急性心筋梗塞|Acute Myocardial Infarction(AMI) 胸部大動脈解離 心不全|Heart Failure 肺塞栓症|Pulmonary Embolism(PE) 慢性腎不全|Chronic Renal Failure |
スクリーニング検査 |
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/PcF, /PlF] Leukocytes|白血球数 [/B, /B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/PcF] |
異常値を示す検査 | Cells [/PcF] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球は発熱に平行して増加する。化膿性心外膜炎で著増、ウイルス性や結核では基準範囲内である。 【CK】 上昇は軽度である。 【CK-MBアイソザイム】 高値なら心膜心筋炎を疑う。 【トロポニンT】 増加していれば心膜心筋炎の可能性が高い。cTnTは骨格筋のトロポニンのアイソフォームで心筋梗塞だけでなくDuchenne型筋ジストロフィーでも血中に出現する。cTnTもcTnIも臨床的有用性はほぼ同じであるが、cTnIは心筋以外の筋疾患で出現しないので、急性心筋梗塞の際はIを測定する。 【トロポニンI】 増加していれば心膜心筋炎を疑う。トロポニンは心筋の構成成分の一つでトロポニンI、T、Cの3種がある。cTnIはトロポニンCと結合して血中に存在する。臨床的には急性心筋梗塞の急性期から発症後2週程度まで高値であること、微小な梗塞でも血中濃度が上がることから心筋の損傷を疑う場合に測定する。異常値を認めたらミオグロビン、CK-MMアイソザイム、CK-MB、LD1、ミオシン軽鎖を測定する。 【基礎疾患】 患者の割合は、リウマチ因子陽性:40%、細菌やウィルス等の感染症:20%、尿毒症:11%、悪性新生物:3.5%、膠原病:2%、非特異性心外膜炎:10%程度。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、心電図検査、心超音波検査、心筋シンチグラフィー、MRI検査 |