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疾患解説

フリガナ クモマクカシュッケツ
別名
臓器区分 神経・筋疾患
英疾患名 Subarachnoid Hemorrhage
ICD10 I60.9
疾患の概念 嚢状脳動脈瘤破裂や脳動静脈奇形が原因で、くも膜下腔に突然出血を来す病態で、喫煙、高血圧、過度の飲酒がリスク因子として挙げられている。発症は50~60歳代に多く、男女比は2:1、70~80%は脳動脈瘤(先天性頭蓋内嚢状動脈瘤といちご状動脈瘤が多い)の破裂による。くも膜下腔に漏出した血液により化学性髄膜炎が発症し、頭蓋内圧が数日間ないし数週間にわたって上昇する。二次性に生じた血管攣縮は局所的な脳虚血を引き起こし、約25%の患者は、一過性脳虚血発作や虚血性脳卒中の症状がみられる。脳浮腫は72時間後から10日後までに最も強くなり、血管攣縮とそれに続く梗塞のリスクが高くなる。
診断の手掛 悪心、嘔吐を伴う突発的な激しい頭痛を訴える患者を診たら本症を強く疑う。意識障害を発症直後から呈する場合もある。頭痛が数日間続く場合も本症を疑い検査することが大切であるが、出血が少量の場合には頭痛は軽度のこともある。数秒以内にピークに達する激しい頭痛の後、意識消失が見られれば本症の可能性が極めて高い。約半数の患者は、激しい運動時に重度の頭痛を来し、患者は「生涯で一番ひどい頭痛」と表現する。最初の5~10日間は、発熱、持続性頭痛および錯乱がよくみられる。二次性水頭症を発症すると、何週間も持続する頭痛、意識障害および運動障害が見られる。
主訴 意識障害|Memory impaiment
運動失調|Ataxia
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
片麻痺|Hemiplegia
錯乱|Confusion
頭痛|Headache/Cephalalgia
動眼神経麻痺|Oculomotor paralysis
鑑別疾患 外傷
高血圧性脳症
髄膜炎|Meningitis
てんかん|Epilepsy
脳血管障害
脳脊髄液減少症
脳動静脈奇形
脳動脈瘤
慢性硬膜下血腫
片頭痛|Migraine
脳内出血|Cerebral Hemorrhage
もやもや病
スクリーニング検査 Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
異常値を示す検査 D-Dimer|Dダイマー/フィブリン分解産物Dダイマー [/CSF]
Endothelin|エンドセリン [/U]
Endothelin-1|エンドセリン [/CSF, /P]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/CSF]
Soluble CD8+ [/CSF]
Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/CSF]
β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/CSF]
関連する検査の読み方 【CBC】
白血球が15,000~20,000/μL程度に増加することがある。
【髄液一般検査】
急性期の腰椎穿刺は脳動脈瘤の再破裂を誘発しやすいので禁忌である。採取できれば強い血性を示した髄液が得られる。出血後6時間以上たつと赤血球は鋸歯状になり、溶血する。遠心した検体にキサントクロミーがみられたら、出血後6時間以上経過している。キサントクロミーは2~4週間持続するので、発症後時間が経過した本症の診断に有用である。出血が疑わしい場合は、8~12時間後に腰椎穿刺を再度行うべきである。
【Na】
低Na血症を認めることがある。出血後2週間は急に低Na血症を来すことがあるので、毎日頻回に電解質の測定を行う。
【確定診断】
頭部CT、脳血管撮影、MRAなどの画像診断による。発症24時間以内であれば頭部CT検査で90%の症例は陽性所見が得られる。
検体検査以外の検査計画 頭部CT検査、MRA検査、脳血管造影検査、心電図検査

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