疾患解説
フリガナ | クラインフェルターショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 内分泌疾患 |
英疾患名 | Klinefelter's Syndrome |
ICD10 | Q98.4 |
疾患の概念 | クラインフェルター症候群は、最も頻度の高い性染色体異常で、2個またはそれ以上のX染色体を持つ男性に発症する。過剰なX染色体は60%の症例で母親由来である。(47,XXY)の核型を持ち、発症頻度は男性の出生1000人に1人の割合で、男性性腺機能不全のうち最も多い疾患である。この疾患では胚細胞が精巣内で生存できないため、精子とアンドロゲンが減少する。 |
診断の手掛 | 長身で上下肢が不自然に長い患者で、小さく硬い精巣を触れたら本症を疑う、女性化乳房が見られることもある。本症は多くの場合、青年で性腺機能低下症を訴える患者や精巣が非常に小型の成人から見つかる。 |
主訴 |
高身長|High stature 小陰茎|Small penis 小睾丸|Small testis 女性化乳房|Gynecomastia 精神発達遅滞|Mental retardation 体重増加|Obesity 肥満|Obesity/Adiposity |
鑑別疾患 |
停留睾丸 精巣炎 下垂体機能低下症 Kallmann症候群 ヘモクロマトーシス|Hemochromatosis 先端巨大症|Acromegaly 男性不妊症|Infertility in Males 肥満症|Obesity |
スクリーニング検査 |
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Follicle-stimulating Hormone|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/P, /U] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S] Thyroid Stimulating Hormone|甲状腺刺激ホルモン [/S] |
異常値を示す検査 |
17-Ketosteroids|17-ケトステロイド [/U] Androgens|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [/P] Estradiol|エストラジオール/E2 [/P] Estradiol, Free|エストラジオール/E2 [/P] Estrogens|総エストロゲン(非妊婦)/エストロゲン(非妊婦) [/P] Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S] Gonadotropin, Pituitary|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/U] Inhibin-B [/P] Lipids|総脂質 [/S] Luteinizing Hormone|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/P, /U] Pro-α-C-related Peptide [/P] Serine|セリン [/S] Sex-Hormone Binding Globulin|性ホルモン結合グロブリン [/S] Testosterone|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【LH/FSH】 増加する。FSH高値は正常男性とKlinefelter症候群患者の最も良い鑑別指標である。LH/FSHは男性性機能の中心である睾丸と女性性機能の中心である卵巣をコントロールしている性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)で、精巣からテストステロンとインヒビンを、卵巣からエストロゲンとプロゲステロンを分泌させる。臨床的には男性では睾丸機能障害、女性では排卵障害が疑われる時に両者を同時に測定し低値、高値、正常の組み合わせから疾患を判断する。また、黄体形成ホルモン放出ホルモンの分泌能、卵巣・精巣機能も把握できる。 【テストステロン】 基準範囲の半分程度であるが、基準範囲と重なる部分もある。テストステロンが低くエストラジオールが高い症例の多くは女性化乳房を生じる。 【エストロゲン】 上昇する。 【頬粘膜細胞診】 Barr小体陽性であるが、陰性でもモザイクの可能性は否定できない。陰性なら染色体分析を行う。 【精巣生検】 硝子化した精管にSertoli細胞だけが並び、Leydig細胞は塊状で精子形成は認めない。 【染色体分析】 47,XXYが典型的であるが、モザイク型やXXXYまたXXXXYなども認められる。一般には染色体の以上が多いほど症状も重症化する。 |
検体検査以外の検査計画 | |