疾患解説
フリガナ | シキュウナイマクエン |
別名 |
骨盤炎症性疾患 卵管炎 |
臓器区分 | 女性性器疾患 |
英疾患名 | Endometritis |
ICD10 | N71.9 |
疾患の概念 | 大部分は膣や消化管からの上行感染による子宮内膜の炎症で、原因は性行為、子宮内操作、子宮内避妊器具などである。感染は複数菌感染であることが多く、起炎菌はB群連鎖球菌、表皮ブドウ球菌、腸球菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイド属、大腸菌、肺炎桿菌などである。 |
診断の手掛 | 発熱、下腹部痛、子宮の圧痛、悪臭のある膿様の帯下を訴える患者を診たら本症を疑う。多くの患者は、軽度な症状を訴えるだけなので、PIDの診断は厄介である。右上腹部1/4に疼痛があればFitz-Hugh-Curtis症候群の合併が強く示唆される。 |
主訴 |
下腹部痛|Hypogastric pain 食欲不振|Anorexia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 帯下|Vaginal discharge 膿様帯下|Pustulant discharge 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 頻脈|Tachycardia 腹痛|Abdominal pain |
鑑別疾患 |
卵巣癌|Ovarian Cancer クラミジア感染症 月経困難症|Dysmenorrhea 子宮筋腫 不妊症 卵管炎 腹膜炎|Peritonitis 骨盤内膿瘍 骨盤内血栓性静脈炎 |
スクリーニング検査 |
Leukocytes|白血球数 [/B] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] |
異常値を示す検査 |
Chlamydia Trachomatis Antibody|クラミジア・トラコマティス抗体/抗クラミジア・トラコマティス抗体 [/S] Fibrinopeptide A|フィブリノペプタイドA [/P] Gonococcal Antigen|淋菌抗原 [Positive/Cell] |
関連する検査の読み方 |
【遺伝子検査】 淋菌、クラミジア・トラコマティスともに遺伝子検査で確認する。 【起炎菌】 淋菌とクラミジア・トラコマティスが一般的である。 【クラミジア・トラコマティス抗体】 クラミジア・トラコマティス抗体はIgM、IgG、IgAの3種あるが、IgMは感染後1週以内に上昇し2ヶ月以内に消失、再感染で上昇することはないため、急性感染の指標となる。IgG抗体は感染1ヶ月後から上昇し数年間抗体価を持続するので既感染の診断に用いる。IgA抗体は初感染でも再感染でも2週後に上昇し、6ヶ月間抗体価を維持する。臨床的には新生児・乳幼児のクラミジア急性感染、クラミジア肺炎、クラミジア深部感染の診断に用いる。また、感染細胞の採取が困難な精巣上体炎、慢性前立腺炎、骨盤内感染や呼吸器感染などでは抗原検査に代わって行われる。 【淋菌抗原】 淋菌感染の迅速診断に有用である。淋菌抗原検査は淋菌菌体表面抗原に対するポリクロナール抗体を検出するもので、培養法に比べ操作が簡単なこと、死菌でも検出出来ることなどの利点がある。ただし、ポリクロナール抗体を使用しているので、淋菌以外のナイセリアの混入があると偽陽性になる。臨床的には男性で尿道炎、前立腺炎、女性で子宮頸管炎、子宮内膜炎、付属器炎、骨盤内感染症を疑う患者は本検査が必要である。 |
検体検査以外の検査計画 | 骨盤内CT検査、骨盤内MRI検査 |