疾患解説
フリガナ | セイジョウアツスイトウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 神経・筋疾患 |
英疾患名 | Normal Pressure Hydrocephalus Syndrome |
ICD10 | G91.2 |
疾患の概念 | 1964年Hakimらにより提唱された概念で、頭蓋圧の上昇で認知症様症状、歩行障害、尿失禁、脳室拡大および脳脊髄圧の正常ないし軽度上昇を特徴とする疾患で、くも膜顆粒による髄液吸収の欠陥が原因とされている。この疾患は、認知症の最大6%占める。 |
診断の手掛 | 亜急性・進行性の認知症様症状(軽度~中等度)、歩行障害(失調性または失行性)、尿失禁が3主徴であり、これらの症状を訴える患者を診たら本症を疑う。足が床に張り付いているように見える歩行(magnetic gait)が、特徴的な歩行障害とされているが、最もよくみられる歩行障害は、非特異的な不安定性とバランス障害である。多くの患者では原因疾患が不明である。認知症は後期まで起こらないことがあるが、最もよく見られる認知症の早期症状は、遂行機能と注意障害で、記憶は後から障害される傾向がある。30~50mLの髄液除去後に歩行、失禁および認知機能が改善すれば診断確定に役立つ。 |
主訴 |
筋硬直|Muscle stiffness/Stiffness of muscle 尿意切迫|Urinary urgency 尿失禁|Urinary incontinence 認知障害|Cognitive impaorment/Dementia 認知症様症状|Dementia-like symptom 排尿障害|Urinary disturbance/Dysuria 頻尿|Pollakiuria/Pollakisuria 歩行障害|Gait disturbance |
鑑別疾患 |
認知症|Dementia パーキンソン病|Parkinson's Disease(PD) アルツハイマー病|Alzheimer's Disease 進行性核上性麻痺 脳血管性認知症 慢性硬膜下血腫 くも膜下出血|Subarachnoid Hemorrhage |
スクリーニング検査 | |
異常値を示す検査 |
Lactate|乳酸/ラクテート [/CSF] Neuron-specific Enolase|神経特異エノラーゼ [/CSF] Neuropeptide Y|ニューロペプチドY [/CSF] Tau Protein|タウ蛋白 [/CSF] α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【α1-アンチキモトリプシン】 増加することがある。α1-ACTはα1グロブリン分画に属する蛋白分解酵素阻害因子の一つで、病原体や組織壊死で活性化されたマクロファージが産生する炎症性サイトカインの働きで肝で産生され、α1-アンチトリプシンよりも炎症の初期に出現する。また、Alzheimer病で血清や髄液中に増加するとの報告もある。 |
検体検査以外の検査計画 | 頭部CT検査、頭部MRI検査、超音波検査、脳波検査 |