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疾患解説

フリガナ ドクソセイショックショウコウグン
別名
臓器区分 救急疾患
英疾患名 Toxic Shock Syndrome(TSS)
ICD10 A48.3
疾患の概念 ブドウ球菌または連鎖球菌が産生する蛋白性外毒素TSST-1(toxic shock syndrome toxin-1)によって発症し、複数の臓器に機能障害を来す重篤な症候群である。A群溶血連鎖球菌による類似の疾患は、毒素性ショック様症候群と呼ばれる。TSSは男性に起こった例もあるが、90%は妊娠可能年齢の女性に発症する。小児の熱傷様皮膚症候群、成人の毒素性ショック症候群、及びエンテロトキシン食中毒は同じ範疇の疾患である。TSSは外毒素産生球菌により引き起こされ、黄色ブドウ球菌株は外毒素であるTSS toxin-1を産生し、化膿レンサ球菌株は少なくとも2種類の外毒素を産生する。ブドウ球菌による毒素性ショックは、腟にブドウ球菌が定着している女性と腟内タンポン、避妊用スポンジ、ペッサリーを留置している女性が最も高リスクである。レンサ球菌による毒素性ショックは、黄色ブドウ球菌によるものと類似するが、死亡率は20~60%とより高い。さらに,約50%の患者が化膿レンサ球菌菌血症を、50%がTSSではあまり見られない壊死性筋膜炎を起こす。患者は、基礎疾患のない小児または成人で、一次感染は、皮膚および軟部組織が多く、ブドウ球菌性のTSSとは対照的に、急性呼吸窮迫症候群を来すことが多い。化膿レンサ球菌によるTSSは、ショックおよび臓器不全を伴うA群β溶血性レンサ球菌感染症で、危険因子は、軽度の外傷、外科的処置、水痘などのウイルス感染症、NSAIDsの使用である。
診断の手掛 突発する高熱(39~40℃)、血圧低下、びまん性の斑状紅皮症を見たら本症を疑う。手掌と足底の発疹は、発症後3~7日の間に落屑し易くなる。ブドウ球菌性TSSは、嘔吐、下痢、筋肉痛、粘膜炎、肝障害、腎機能障害、血小板減少、錯乱を来す。連鎖球菌性TSSは、呼吸促迫症候群、凝固障害、肝障害、腎機能障害を引き起こし、発熱、全身倦怠感、および軟部組織感染部位に激痛を起こしやすい。本症候群は48時間以内に失神およびショックにより死に至ることがあるので注意が必要である。
主訴 意識障害|Memory impaiment
筋肉痛|Myalgia
血圧低下|Blood pressure decreased
下痢|Diarrhea
高熱|High fever/Hyperthermia
紅斑|Erythema/Rubedo
錯乱|Confusion
手掌発疹|Palmer eruption
ショック|Shock
足底発疹|Plantar eruption
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
落屑|Desquamation/Scaling
鑑別疾患 MRSA感染症
移植片対宿主病|Graft versus Host Disease(GVHD)
結膜炎
ショック|Shock
腎不全
炭疽
敗血症|Sepsis
播種性血管内凝固症候群|Disseminated Intravascular Coagulation(DIC)
ブドウ球菌感染症
溶血連鎖球菌感染症
川崎病|Kawasaki Disease
猩紅熱
ライ症候群|Reye's Syndrome
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
髄膜炎菌血症
レプトスピラ症/ワイル病
ウイルス性発疹症
ロッキー山紅斑熱|Rocky Mountain Spotted Fever(RMSF)
スクリーニング検査 Calcium|カルシウム [/S]
異常値を示す検査 Calcitonin|カルシトニン [/P]
関連する検査の読み方 【性器・膣液細菌培養】
ブドウ球菌やA群溶血性連鎖球菌が検出される。
【トキシックショック症候群トキシン-1/TSST-1】
高値になる。感染がなければ25pg/mL以下である。TSST-1は強力な抗原活性を持ち、発熱、悪心、ショック症状を引き起こす。
【CD45RO陽性細胞】
増加する。
【Vβ2陽性T細胞】
増加する。
【エンテロトキシン】
黄色ブドウ球菌感染で検出される。
【毒素性ショック症候群様発疹診断検査】
Vβ2陽性T細胞が増加する。
【細菌培養】
培養用の検体は鼻腔(ブドウ球菌)、咽頭(連鎖球菌)、膣(両者)、及び血液などあらゆる病変部から採取する。
検体検査以外の検査計画 呼吸機能検査

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