疾患解説
フリガナ | ハイノウヨウ |
別名 | |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Abscess of Lung |
ICD10 | J85.2 |
疾患の概念 | 化膿性病原菌により肺実質が壊死に陥り空洞を形成し、空洞内に膿を貯留する疾患で、好中球の破壊で放出されたリソソーム酵素により組織が融解・壊死に陥る。また炎症が胸膜に及ぶと膿胸となる。肺膿瘍の原因は、誤嚥が最も頻度が高く、次いで、気管支内閉塞、血行性播種の順である。誤嚥は、歯肉炎のある患者、口腔衛生状態の悪い患者、高齢者がおこすことが多い。誤嚥性肺膿瘍の最も頻度の高い病原体は、嫌気性細菌であるが、全症例の約半数は、嫌気性菌と好気性菌の両方が原因菌である。頻度が高い嫌気性菌は、Peptostreptococcus、Fusobacterium、Prevotella、Bacteroidesであり、好気性菌は、レンサ球菌である。 |
診断の手掛 | 多量の腐敗臭のする膿性痰、発熱、発汗、体重減少などを訴える患者を診たら本症を疑う。嫌気性細菌による膿瘍、または嫌気性と好気性細菌の混合感染による膿瘍の症状は、慢性的で数週間または数カ月にわたり湿性咳嗽、発熱、盗汗、体重減少などを訴える。また、喀血および胸膜性胸痛を呈する場合もある。喀痰は膿性または血液が混在することがあり、悪臭が特徴的である。好気性細菌による膿瘍の症状は、より急性に発症し、細菌性肺炎に類似している。 |
主訴 |
悪臭痰|Stench sputum 嘔吐|Vomiting 悪寒戦慄|Chill with shivening 悪心|Nausea 喀血|Hemoptysis 胸痛|Chest pain 呼吸困難|Dyspnea さび色痰|Rusty sputum 頭痛|Headache/Cephalalgia 咳|Cough 体重減少|Weight loss 痰|Sputum 脳圧亢進症状|Intracranial hypertension 膿性痰|Purulent sputum 発汗異常|Dyshidrosis/Paridrosis 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腐敗臭痰|Foul odor urine/Foul smell urine やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
肺癌|Lung Cancer アルコール依存症|Alcoholism ウェゲナー肉芽腫症 歯周病 糖尿病|Diabetes Mellitus 脳血管障害 肺結核|Pulmonary Tuberculosis 肺真菌症 肺炎|Pneumonia 壊死性肺炎 肺分画症 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/U] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] Neutrophils|好中球 [/B] |
異常値を示す検査 | |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球は15,000~30,000/μL程度に増加する。赤血球は慢性期になると正色素性性球性貧血になる。 【喀痰一般検査】 膿性で悪臭のある喀痰が大量に出る。グラム染色で多数の菌体と多核白血球がみられる。 【血液培養】 急性期には陽性のことがある。 【喀痰培養】 好気性と嫌気性培養が必要。原因菌は嫌気性菌が多く複数菌感染もしばしば認められる。嫌気性培養は閉鎖性膿瘍では必須の検査である。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、CT検査、気管支鏡検査 |