疾患解説
フリガナ | マイコプラズマ感染症 |
別名 | |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Mycoplasma Infection |
ICD10 | J15.7 |
疾患の概念 | Mycoplasma pneumoniaによる肺炎を中心とする感染症で、上気道炎、気管支炎、胸膜炎などを発症する。患者は、小児~若年成人が大部分だが、高齢者の発症も見られる。4年ごとの周期性大流行が見られたが、最近は季節に関係なく流行が起こる。非定形肺炎の40%以上をマイコプラズマ肺炎が占める。マイコプラズマは遍在性の細菌で、細胞壁を欠いているという点で他の原核生物と異なり、光学顕微鏡では観察不可能で、培養も技術的に難しい。 |
診断の手掛 | 頑固で長期にわたる乾性の咳を訴える患者を診たら本症を疑う。夜間の咳は睡眠障害を起こす程に強くしつこいことがある。 |
主訴 |
咽頭痛|Pharyngodynia 咽頭発赤|Flare of pharynx 乾性咳|Dry cough 胸痛|Chest pain 神経障害|Neuropathy 耳痛|Otalgia/Ear pain 睡眠障害|Sleep disorder 咳|Cough 痰|Sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 発疹|Eruption/Exanthema |
鑑別疾患 |
ウイルス性肺炎 クラミジア肺炎 レジオネラ症/在郷軍人病|Legionnaires' Disease |
スクリーニング検査 |
Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Eosinophils|好酸球 [/B] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Neutrophils|好中球 [/B] |
異常値を示す検査 |
Mycoplasma Antigen|マイコプラズマ抗原/マイコプラズマ抗原遺伝子検査 [Positive/Throst Swab] Mycoplasma Pneumoniae Antibody|マイコプラズマ抗体/抗マイコプラズマ抗体 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球は増加しないことが多く、増加しても10,000/μLを超えることはない。それ以上増加する場合は他の細菌感染との合併を考える。 【肝機能検査】 30~40%の患者に肝機能障害を認める。 【寒冷凝集反応】 ペア血清で4倍以上、単一血清で256倍以上に上昇する。寒冷凝集素は0~4℃の低温でABO式血液型と関係なく自己赤血球、O型赤血球を凝集する抗体で、血清中の寒冷凝集素を検出する検査を寒冷凝集反応と呼ぶ。この凝集素は成人赤血球の血液型I抗原に対する抗体で、マイコプラズマ肺炎で出現するため、マイコプラズマ肺炎の診断に用いる。 【イムノカード・マイコプラスマ抗体】 迅速検査キットで、急性期の診断に有用である。 【抗平滑筋抗体】 弱陽性のことがある。 【マイコプラズマ抗体】 上昇する。マイコプラズマは小児から30歳代の成人の呼吸器感染の主要原因菌でときに流行を引き起こす。検査は1.しつこい咳があるが痰が殆ど出ない 2.聴診で呼吸性雑音が弱い 3.末梢白血球が正常範囲か軽度上昇にとどまる 4.ベータラクタム剤が無効の異型肺炎を疑う患者に行う。マイコプラズマは不顕性感染や再感染も多く、単一血清の場合はCFで64倍以上、PAで320倍以上を示してもそれだけで現時点での感染といえない場合もあるので、必ずペア血清での検査を行う。 【マイコプラズマ遺伝子検査】 咽頭分泌物で陽性である。マイコプラズマは小児から若年成人にかけて上気道炎、気管支炎、肺炎を起こす病原体で、4年おきに流行を繰り返す傾向がある。抗体による診断は急性期と発症後2~4週後のペア血清を用いるが、迅速診断が必要な場合はPCRによる抗原検出が必要になる。臨床的にはペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が効かない肺炎を見た場合に、マイコプラズマ肺炎と診断できれば、マクロライドやニューキノロンなどの有効な薬剤が選択出来るという利点がある。 【細菌学的検査】 PPLO培地で培養が可能だが、分離されることは稀である。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部CT検査 |