疾患解説
フリガナ | イショセイACTHショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 内分泌疾患 |
英疾患名 | Ectopic ACTH Syndrome |
ICD10 | E24.3 |
疾患の概念 | 下垂体以外の組織に発生し、ACTHを分泌する異所性ACTH産生腫瘍から過剰分泌されたACTHにより、臨床的にCushing様徴候や副腎皮質機能亢進症状が出現する病態で、約半数は肺小細胞癌が原因腫瘍であるが、胸腺腫、カルチノイド、褐色細胞腫、膵ランゲルハンス氏島腫瘍などでも見られる。この腫瘍は、ACTHと同時にβリポトロピン、β-MSH、βエンドルフィンなども産生する. |
診断の手掛 | 満月様顔貌、中心性肥満、野牛肩、皮膚線条などのCushing様徴候を訴える患者や高血圧、耐糖能異常、低K血症、色素沈着などの患者を診たら本症を疑うが、肺小細胞癌のように急速に進行性する腫瘍ではこのような症状は見られず、体重減少や悪液質が目立つので注意する。異所性ACTH症候群患者の50%、下垂体性Cushing病患者の90%を女性が占める。この疾患は、ミネラルコルチコイドが過剰になるので、Cushing病の患者には殆ど見られない低K性アルカローシスが見られる。 |
主訴 |
高血圧|Hypertension 色素沈着|Pigmentation/Chromatosis 体重減少|Weight loss 体重増加|Obesity 中心性肥満|Central obesity 皮下溢血|Suggillation 皮膚萎縮|Dermatorophia/Dermatrophy 皮膚線条|Sreiae cutis/Striae 皮膚菲薄|Thin skin 肥満|Obesity/Adiposity 満月様顔貌|Moon face 野牛肩|Buffalo hump やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
神経性食欲不振症 抑うつ症 アルコール依存症|Alcoholism 薬剤(糖質コルチコイド) クッシング病 クッシング症候群|Cushing's Syndrome 下垂体腺腫 |
スクリーニング検査 | |
異常値を示す検査 |
Corticotropin|副腎皮質刺激ホルモン/コルチコトロピン [/P] Corticotropin-releasing Hormone Test|CRH負荷試験/コルチコトロピン放出ホルモン負荷試験 [No ACTH or Cortisol Responce] Cortisol|コルチゾール [/P, /U] Cortisone|コルチゾン [/U] Dexamethasone suppression|デキサメタゾン抑制試験 [/S] α-Melanocyte Stimulating Hormone|α-メラノサイト刺激ホルモン [/S] β-Endorphin|β-エンドルフィン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【デキサメタゾン抑制試験】 コントロール日のACTH高値で、抑制されない。デキサメタゾン抑制試験はデキサメタゾンが内因性コルチゾールよりはるかに強力なACTHの分泌抑制力があることを利用し、主としてCushing症候群とうつ状態を来す疾患の診断に用いる。 【コルチコトロピン放出ホルモン負荷試験】 ACTHの前値が高値で無反応である。CRHは室傍核のニューロンで産生され、下垂体門脈中に放出されるポリペプチドで、下垂体前葉にあるACTH産生細胞に直接働き、ACTHの分泌を促す。この検査は下垂体前葉でのACTH分泌予備能を知るために行う。このため、下垂体障害があれば無反応、視床下部障害では遅延反応を示す。また、クッシング症候群や異所性ACTH産生腫瘍では過剰のコルチゾールにより、下垂体のACTH分泌が抑えられるので、反応しない。 ACTHの前値が低値で無反応:下垂体機能低下症、ACTH単独欠損症、CRH分泌不全 ACTHの前値が高値で無反応:異所性ACTH産生腫瘍、副腎腫瘍によるクッシング症候群ACTHの前値が基準範囲上限~高値で1.5倍以上の増加:ACTH産生下垂体腫瘍(クッシング病) 【α-メラノサイト刺激ホルモン】 10pg/mL以上に増加することがある。α-メラノサイト刺激ホルモンは胎生期にのみ存在するホルモンで下垂体中葉に於いてプロオピオメラノコルチンから生成される。胎生期以後は下垂体中葉が消失するため生成されず、血中に検出されない。しかし、異所性ACTH症候群やACTH産生下垂体腫瘍では産生される場合があり、臨床的にこれ等疾患の存在を疑う場合に測定する。 【β-エンドルフィン】 高値になることがある。β-エンドルフィンは下垂体前葉、中枢神経系、交感神経系、消化管、膵などで産生されるポリペプチドで、中枢神経系では痛覚の調節、下垂体では前葉ホルモン分泌調節を行っていると考えられている。ACTHやβ-リポトロピンと血中濃度が平行することから、臨床的にはACTHの関連疾患で測定される。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、CT検査、MRI検査、腹部超音波検査、シンチグラフィー |